富山開催の親愛信託セミナーにて

先般、富山で信託セミナーを開催した際に良い質問を頂きました。
遺留分についての質問でした。
遺留分については、信託では必ず議論になるテーマです。
このテーマについて、解答を松尾代表にお願いしたところ、明確にご解答頂きましたのでご紹介致します。

~事例~
・法定相続人が長男と次男のみ
・長男のみに財産を残してやりたい

上記のケースを信託で実現する場合、受益権につき

1、次男に何も渡さない(=受益権を設定しない)
または
2、次男に遺留分相当額の信託財産の受益権を設定、残りの信託財産の受益権を長男に設定

の信託契約が想定される。

~質問~
上記の事例で次男は「遺留分請求権を行使」してきた場合、どのような対応になるのでしょうか?

~松尾代表の解答~
まず第一に
「信託財産は相続財産となるのか、あるいは相続財産から外れるのか」
「仮に相続財産から外れたとしても遺留分減殺請求の対象にだけはなるのか(すなわち相続法が強行法規であり、特別法(本当は特別法ではなく違う法律なのですが、そう言っている人がいます)である信託法にも優先するとする解釈)」
という根本的な法的問題があります。

「そもそも信託財産が相続財産ではない」
と考えるなら、遺留分減殺請求権は最初から存在しないということになり、
「1」の方法で、完璧にガードできるということになります。
しかし、この問題は、現時点では判例が皆無であるばかりか、法律家の間での議論にすらなっていませんので、遺留分請求者は必ず訴訟を提起してくるものと思われ、結論は最高裁判決まで先延ばしされることでしょう。

そこで、仮に遺留分減殺請求権が信託財産にも及ぶとした場合のために、「2」の方法が考えられます。
この方法で、遺留分相当割合の受益権を与えたとすれば、与えられた者はそもそも遺留分減殺請求権を行使することができないので、訴訟自体が成立しなくなります。
遺留分相当分を与えられているので、原告適格がなくなります。
これが、民法改正より(解答時点では令和元年6月、改正は令和元年7月1日から)、遺留分請求債権になれば、さらにそこは確定的になります

そこで問題となるのが、遺留分相当割合を与えられた者の受益権が受益者連続型になっており、その者の死亡で受益権が三次受益者である別の者に渡るとする信託行為であった場合に、与えられた受益権が条件付きになり、遺留分相当分には不足であるとの主張が可能かどうかという部分であり、さらに二次受益者から三次受益者に受益権が渡る場合に遺留分が存在するか否かということです。
これらについても、今後方向性が決まっていくものと思いますので、それまでは案件ごとに検討し、全国の傾向に関してはよつばとしての情報を発信し、最新情報を提供していきたいと思っています。

一般社団法人 よつば民事信託とやま 代表理事 山本和博

【特定障がい者に対する贈与税の非課税特例】

先日、「信託を活用すれば、障がい者への贈与は6,000万円まで贈与税が非課税なのですか?」というご質問を頂きました。

 

信託を活用した障がい者への贈与は、一定の条件に該当すれば、ご質問の通り贈与税が非課税になります。

この制度は、「特定障がい者に対する贈与税の非課税」という特例で、障がい者の経済的な安定を図るための税制上の優遇措置です。

 

障がい者の生活の安定と療養の確保を図るため、親などが金銭、有価証券その他の財産を、信託銀行等に信託したときは、特別障害者(重度の心身障がい者)の方については6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税になります。

なお、信託された財産は、障がい者の生活または療養の需要に応じて、定期的に、実際に必要な金額が金銭で支払われます。

 

この制度を利用することで、万一親が亡くなった場合でも、引き続き障がい者の方に生活費や医療費等が信託銀行等から定期的に交付され、親亡き後の障がい者の方の将来の生活に備えることが可能です。

 

ちなみに、この特例の適用を受けるためには、受託者が「信託会社か信託業務を営む金融機関」でないといけません。つまり、我々よつばグループを含め、司法書士や弁護士などの専門家が取り扱っている民事信託では、この条件に該当しないため、障がい者への贈与であっても非課税にはなりません。ご注意ください。

 

一般社団法人 おかやま民事信託協会・よ・つ・ば 村上心理

障がい者等支援信託

障がいを持つ人の人口は、「平成30年度障がい者白書」によると、身体障がい者が436万人、知的障がい者108万人、精神障がい者が392万人と、9百万人を超えています。

 

また、最近、ひきこもりの人に関する悲惨な事件が起こりましたが、ひきこもりの当時者、親族の方は想像しがたい苦悩の中にいることと推察します。(今回の事件もひきこもりと安易に結びつけるべきではないと厚労省が発表しました。)

そのような中高年のひきこもりは全国で推定61万人、若年層は54万人と推計されています。

この中には

(1)自室からは出るが自宅からはほとんど出ない。
(2)普段は自宅にいるが近所のコンビニなどには出かける。
(3)普段は家にいるが、自分の興味に関する用事の時だけ外出する。

といった分類があり、1から3を合わせた人数とされています。

ひきこもりの人には、就労ありきではない多様な支援をしていく必要性があると感じます。

 

このように自立生活が困難な子どもをもつ親御さんにとって、自分が亡くなった後の子どもの生活が心配で、できれば継続的に子どもに遺産を給付したいという気持ちを持つ方も多いのではないでしょうか。

現行制度では難しいこのような場合でも、親愛信託を使えば可能になります。親の財産を一括して子どもに相続させるのではなく、必要な金額のみ継続的に給付できる仕組みがあるのです。

 

親亡き後のために、確実で継続的な財産承継の一助となる親愛信託をご活用いただくことで、親御さんの心配が少しでもなくなり、子どもさんの生活が継続して安定することを願ってやみません。

 

一般社団法人 おかやま民事信託協会・よ・つ・ば 森脇史子

遺言書で出来ないことを親愛信託で

近年、終活がメディアで取り上げられるようになって、遺言や財産に関するご相談をよくお受けします。

私が松尾代表や親愛信託に出会う前の話になりますが、葬儀屋さんで相続と遺言のセミナーを開催し、その終了後に相談会を行ったところ、セミナー参加者の高齢女性から遺言に関する相談を受けました。

「私は、夫は早くに亡くしているし、子供も居ません。お金は夫の遺族年金のお陰でそこそこありますが、兄弟にはあげたくありませんので、お金は姪に残したいと思っています。ただし、自宅については、夫との思い出もありますし、3000万円かけてリフォームして、とても気に入っているので、売らずに長く住んでもらえる人にあげたいと思っています。どうすれば良いでしょうか?」
という内容でした。

兄弟姉妹には遺留分はありませんので、姪にお金を残すことは遺言による遺贈で問題なく解決するのですが、家については長く住んでくれる人を見付けてからでなければ遺言では解決しません。
実際、相談者には長く住んでもらえる人のあてはないとのことでした。

都会であれば、タダで家を貰えるならいくらでも長い間住み続けるという方も見つかるのかもしれませんが、相談者のご自宅はかなりの田舎で車以外の移動手段は皆無でした。
当時の私には民事信託の知識は無く、知り合いの不動産屋に相談したりしましたが、該当する人は見つかりませんでした。

数年後、親愛信託に出会い、松尾代表の話を聞いた時に、あの時の私にこの知識があれば、あの相談者の願いを叶えることが出来たかもしれないなぁと思いました。

親愛信託と出会って2年、今の私は、遺言や財産に関する相談を受けた際には、認知症対策も含めて親愛信託についてもお話するようにしています。

 

協同組合 親愛トラスト 溝邉享弘

民事信託を活用し株式財産を管理・処分する方法

「「信託」とは、「財産」(お金や不動産)を「託されたひと」(受託者)が
その財産を「管理」(支払いや運用)して、「預けたひと」(委託者)や「託したひとの大事なひと(本人ふくむ)」(受益者)のためになることをすること。」
だと思います。
一般的に言って「財産」とは「預貯金(お金)」「土地建物(不動産)」そして
「株式財産(証券)」の三つが中核となります。
残念ながら「預貯金(お金)」に関しては「信託口」対応の問題があり、日本の金融機関は決して前向きとは言えず、遅々として進んでおりません。
まだまだ一部の金融機関に限定されています。
むしろ「土地建物(不動産)」の信託対応がもっとも先行しています。
「土地建物(不動産)」は登記が出来るので、登記のプロフェショナルである司法書士によって「信託登記」が普及しています。
「信託登記」も「相続登記」と同じ「登記」の一種と考えれば、ハードルが低いのでしょう。
上記の二つに比較しても「株式財産(証券)」に関しては、圧倒的に遅れています。三大財産である株式財産への対応が皆無(強いて言えば現金化するしかない)であるのは問題と思います。

さて
この状況は来年以降 ついに変わるのでないかと考えています。
動くのは証券会社先行ではなく、三井住友信託銀行です。
担当の部長が明言しています。「来春スタート」と
来春が意味するのが、1月か4月かは分かりませんが、具体的に言えば、①本部対応②インターネット対応③もちろん金融財産をもってる方限定(数千万以上)
よつばの各位とは情報共有します。
どうぞよろしくお願いいたします。

一般社団法人 親愛信託名古屋 遠山 眞人

安心と幸せをつなぐ親愛信託

最近、独り身の老婦人と知り合うご縁がありました。その方には、実の息子がいますが、絶縁状態で、もう数年来会うことはもちろん、話すこともありません。決して憎んでいるわけではないのですが・・・その老婦人には家族同然に20年連れ添ってきた猫のタロウがいます。タロウがいない生活などあり得ないほど、心を寄せています。少々具合が悪くても、一日の検査入院も拒む程に。
私は縁あって、その老婦人の見守りをすることになりました。その方は、生まれは高知ですが、20歳で京都に出て40年以上は京都暮らしの老婦人。想像以上の苦労もされたことでしょう。簡単には人に心を開きません。私も何度かお会いしていましたが、まだまだ・・
ある時から、腰の痛みを訴えることが多くなり、嫌がるご婦人を病院に連れていき、よく検査すると、骨折が判明し急遽入院することになりました。
愛猫タロウの事がありましたが、痛みの酷さにさすがにご婦人も入院を受け入れました。幸いタロウは近所の動物病院が退院まで預かってくれることになり、一安心です。
しかし、入院生活は想像以上にご婦人には過酷でした。腰の痛みもなかなか良くならず、人付き合いも上手ではないため、看護師さんからも冷たい対応(本人が言うには)で、タロウもいない日々に非常に孤独感を感じていらっしゃいました。
私は、自宅から入院先が近かったため、度々様子を見に行くことができました。ご本人にとっては、それがとても嬉しく、安心できたようで、一気に私への信頼が深まりました。それを実感した私は、何とか老婦人を元気づけたいと思い、動物病院で預かってもらっているタロウに会いに行き、動画を撮って見せてあげると伝えると、そんなことができるのかととても嬉しそうな様子。翌日実行し、ご本人に見せると・・感嘆の声で「タロウ、タロウ、タロウ、タロウ―」と抑えることのできない感情をあらわに、涙を浮かべて喜ぶ様子を目の当たりにして、あぁこういう方にこそ、信託を使って愛猫と共に安心できる将来を設計することで得られる安堵感は大きいのではないかと感じたことでした。
我々よつばグループは、様々なニーズに全力でサポートいたします。

よ・つ・ば親愛信託こうち 行政書士/メンタルケア心理士 岡﨑千佳

親愛信託と空き家予防

全国的に空き家が増えて社会問題になっています。空き家のまま家が放置されると家の老朽化が早まるだけでなく、ゴミ問題、放火、治安悪化などの原因となります。また周辺一帯の地価が下落してしまう可能性もありますし、特定空き家に指定されると制度上の不利益を受ける可能性もあります。なにより知らず知らずのうちに近所の住民さんたちに迷惑をかけている状況になっていることが問題ですよね。
さて、空き家になってしまう原因ですが、様々なものがあります。所有者が遠方に住んでいて管理をしていない、相続人がいない、兄弟で共有しているが売却を反対している人がいる・・・などなど。今回はその中でも「所有者が認知症になっていて売却ができない」という原因にスポットをあててみましょう。
例えば、お母さんが所有している一戸建てに一人暮らしをしているとします。お母さんはこのたび施設に入所することになりました。まだ思い出のある家は売りたくはないが、生活費がなくなった場合には息子たちに迷惑はかけたくないので、売却して生活費に充ててほしいと考えています。さて、このまま時間が経って、お母さんが認知症になってしまったらどうなるでしょうか?
認知症の方の名義の不動産を売却することはできません。(意外とこのことを知らない方が多いです。)残された方法としては、成年後見人を選任してもらって成年後見人が売却する等の方法をとるしかありません。成年後見制度は本人を守るための優れた制度ですが、このようなケースでは手続きが煩雑なうえ、使いにくかったり、費用負担が大きくなったすることがあります。
このような状況を予防するために、親愛信託を検討してみてはいかがでしょうか?お母さんが元気なうちに、息子さんに自宅を信託します。財産的な権利をお母さんが持ったまま、手続き等を行う権限を息子さんに移します。(このとき財産的な権利は動いていませんので、贈与税も発生しません。)こうすることで、息子さんはその信託契約に従って自宅の売却手続き等を行うことができます。空き家の予防だけでなく、母さんの老後の資金の確保にもつながります。
何事も問題がおきてから対処するより、予防した方が費用も労力も少なくてすみますよね。
詳しくはよ・つ・ばグループへお尋ねください。

よ・つ・ば親愛信託普及連合 司法書士 田代 洋平

自筆証書遺言に関するルールの変更について

このたび、民法(相続法)改正・遺言書保管法の制定により、自筆証書遺言に関するルールが大きく変わりました。
1.自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日施行)
自筆証書遺言についても、財産目録については手書きで作成する必要がなくなりました。
現行の制度ですと遺言書の全文を自書する必要があり、財産目録も全文自書しなければならず、遺言者にとって重い負担となっていました。
しかし、このたびのルールの変更により、自書によらない財産目録を添付することができるようになりました。パソコンで目録を作成したり、通帳のコピーを添付することも可能です。偽造防止のため財産目録には署名押印をする必要はありますが、全文自書することを思えば大幅に負担は削減されることでしょう。

2.法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設
2020年7月10日施行(法務局における遺言書の保管等に関する法律)
自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます(作成した本人が遺言書保管所に来て手続を行う必要があります。)
遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。
*遺言書保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。
*遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付がされると、遺言書保管官は、他の相続人に対し、遺言書を保管している旨を通知します。

以上のように、自筆証書遺言の要件が緩和され、また、法務局における保管制度が創設さ
れることにより、自筆証書遺言が多少は使いやすくなるものと思われます。
自筆証書遺言にするか公正証書遺言にするか、作成される方のニーズに応じて使い分け
ていただければとは思います。

一般社団法人 おかやま民事信託協会・よ・つ・ば 司法書士 髙野 佑介

公益信託法改正について

皆さん、公益信託をご存知でしょうか?

聞きなれない制度ですが、学術、技芸、慈善、祭祀等の公益的な活動を支援することを目的とした信託です。一般の信託は業として行わない場合を除いて信託銀行以外が受託者になることができますが、公益信託の場合は信託銀行以外が受託者になることはできません。この公益信託制度の見直しを議論していた法制審議会(法相の諮問機関)は昨年年末に公益信託制度の見直し要綱案をまとめています。

内容としては、信託銀行以外にもNPO法人などの法人、個人も受託者になれるようになります。また、これまで公益信託を行い税制の優遇措置を受けるには「金銭」であることが条件の一つになっていました。そのため、主に公益信託は奨学金などに利用されていました。奨学金は公益財団法人などで行うケースも多々ありますが、小規模なのものはわざわざ職員を雇用し、事務所をかまえて法人化するよりも、財産だけを信託して信託銀行が管理することにメリットだったわけです。法制審議会の議論では、これにプラスして美術品や不動産を信託する場合も条件を満たせば税制上の優遇措置を受けることができるような方向性が議論されています。

これにより名画や歴史的建造物などが一般公開されやすくなったり、学生寮などとしても活用しやすくなることが期待されています。

今後、どこかのタイミングで法案が国会に提出され、法制化が目指されていくことになります。信託の新たななスキームとして注目しています。

親愛信託名古屋 中小企業診断士・行政書士 竹上将人

ペットの未来

皆さま、こんにちは。今回はペットの未来について考えてみたいと思います。
先日、ご近所の奥様がお亡くなりになりました。お年は60代後半くらいに見え一人暮らしで可愛い小型犬を飼っておられました。お散歩中に挨拶をすると、奥様と一緒にキャンとご挨拶をしてくれる本当に愛らしいワンちゃんです。ですから、奥様の訃報を受けてあのワンちゃんはどうなってしまったのだろうか、、、とても心配になりました。
幸い、遠方に住まれている娘さんが引き取ることになったようですが、それ以来あのワンちゃんの元気な姿が奥様と共に見られなくなったのはとても寂しことでした。ワンちゃんは近所のアイドル犬でしたので、地域の皆さんも残念に思っています。
ここで、やはり考えてしまうのは
どういう形であれ飼い主亡き後のペットの行方です。
また、私の同級生(40代です)に、独身で猫を2匹飼っている方がおります。「この子たちは私に最高の癒しを与えてくれる」と、とても大事にし可愛いがっております。そんな彼女は、一人の身であることからも、終活を常に意識しております。まだ早いのでは?と思われるかもしれませんが、そうは思えません。備えることで憂いを持たない彼女は、いつも自分のことを癒してくれるペットについても彼らが路頭に迷わないよう、真剣に考えていました。
自分自身で、この家族であるペットのお世話ができなくなってしまうときに、どうしたらその方とペットにとって最善の方法であるのかを、我々よつばグループもお手伝いさせていただいております。