【スタッフブログ】コロナウィルスによる家族信託業務への影響

コロナウィルスによる家族信託業務への影響

 

皆様こんにちは、今回は香川県で司法書士・行政書士をしております私門馬が担当させて頂きます。

さて今月に入り香川県におきましても、実際に家族信託を含む司法書士業務、行政書士業務への影響が残念ながらでてまいりました。

一番困っておりますのが、殆どの介護施設におきまして、入所者の方との面会ができなくなってしまった事です。

例えば、不動産売買におきまして売主様が一定の年齢以上でらっしゃる場合、司法書士において判断能力等の確認の為、取引の前に売主様が入所されてらっしゃる施設にお伺いをし直接面会させて頂く事が多くありますが、香川県においてもご家族以外の方の施設での面会が現在ほとんど不可能となっております。

売主ご本人様、ご家族の方から施設の方にご説明頂きなんとか面会させて頂くケースや施設に外出許可を貰って売主様のご自宅でお会いするケースもありますが、その場合、万が一コロナウィルスに売主様や他の施設入所者様が感染されてしまうリスクもありますので難しい判断を毎回せまられます。

かといってコロナウィルスの流行がいつ終わるか分からない状態ですので、仮に暫く様子を見てた場合、その間に売主様が判断能力を失われてしまったり、不動産の買主様が購入を辞退される可能性もあります。

同じことが、家族信託業務にも言えます。実際に委託者及び受託者の候補者と打ち合わせを重ね、これから契約書作成という段階で数件とまってしまいました。

また受託者候補者(もしくは予備の受託者)の方が、県外にお住まいというケースが結構ありまして、スキーム組成や契約書作成前にかならずお会いして意見をお聞きしてから進めるようにしておりますが、現在県をまたいでの移動に抵抗をしめされる方が多い為この段階でとまってしまってるケースもあります。

今後は、パソコンやタブレット端末を用いた非対面での相談や面談が増えてくると思われますが、継続相談や受任後の事務手続きの確認は別として、なかなか一度も直接お会いしないで業務を進めていくのは、特に家族信託のような業務に関しましては難しい気が致します。

相談者や依頼者はご高齢の方が多く、そもそもパソコンやタブレット端末、通信用のアプリを使いこなせるかという問題もありますが、やはり直接お会いしないと人となりが分からず、画面を通してだけでは信用して業務をまかせられないとお考えの方がかなりいらっしゃると思います。

家族信託の場合、契約書の文言が一般の方からするとどんなに工夫をこらししても理解が難しい場合が多く、通常委託者、受託者になんどもご説明を繰り返して理解して頂くケースが多いです。非対面での場合どうしても直接お会いする場合より説明が難しいと感じてます。

コロナウィルスの流行がいつ終わるか予測できない中、実際に家族信託を含む業務の依頼にいかにスピーディにリスクなく答えていくか、専門家の腕の見せ所です。

香川 門馬良典

【スタッフブログ】映画に観る認知症

1.三本の映画

遺言・相続、後見業務、信託・・を語る際、必ずと言っていいほど、「高齢化・認知症」がキーワードとして使われます。セミナー等によっては、不安商法的なニュアンスが漂う感も、あります。私は一映画ファンですが、映画に認知症が出てきた例では、これまで三本観ています。

2.最も新しい作品は、“長いお別れ”です。

作家の中島京子さんがご自身のお父様の10年余の介護の日々を綴った原作の、映画化です。怪優・山崎務の名演技でした。実は私は先ず原作を読み、その後たまたまですが、文芸春秋本社での中島さんと筑波大学の認知症専門医師とのトークショーを聴かせて頂き、最後に映画も観ることが出来ました。長女・竹内結子、次女・蒼井優と、私の贔屓の女優陣で、観劇は至福のひとときでした。

トークショーでは、認知症計測のデファクトスタンダードである長谷川式スケールでの、お父様の進行状況を詳しくご説明されました。“長いお別れ”は、英語の認知症“long goodbye”の直訳であると、初めて伺いました。これは映画の中でも、米国の高校に学ぶ孫が校長先生から教えて貰う場面が出てきます。病気がどんどん進んで行く様は、私も個人的に、身内にも知人のお母様にも認知症を患って亡くなった方がおり、身につまされる思いでした。

3.もう一つは、原田芳雄の遺作となった“大鹿村騒動記”です。

300年続く郷土歌舞伎の上演を描く、凄い豪華キャスト(佐藤浩市、松たか子、三國連太郎他沢山)のエンターテインメント作品でした。友人と駆け落ちした主人公の妻(大楠道代が、はまり役でしたね。)が重い認知症になって、逃げた友人(岸部一徳)に連れられて村に帰ってきます。「女房を治してから返してくれよー!」と、まだら認知症の妻を抱える羽目になった夫が叫びます。晩年の原田芳雄のやや枯れた感のある、しかし重厚な演技で、泣き笑いしながら観ましたね。

映画完成披露のご挨拶では、美しいご長女の押す車いすに乗った原田芳雄が舞台に登ります。親子の感動的な場面で、自分も娘を持つ親として、眼に残りました。

4.最後が、若年性認知症を扱った“明日の記憶”です。

渡辺謙と樋口可南子夫妻、(福山雅治と結婚した)吹石一恵が一人娘役でした。これも、好きな女優陣で良かったです。大手広告代理店の現役バリバリの営業部長が、ある日突然記憶喪失的な状態となり、あっと言う間に病状悪化して行きます。若い専門医の問診に対し、「お前なんかに何が分かるんだ!」と怒鳴る夫。急きょ道案内に助けに来てくれる部下、片や役員に上司の認知症の服薬をチクる部下に、私自身も当時は会社員でしたから、サラリーマン社会のリアリティを覚えたのを思い出します。専業主婦から、友人のお店を任せられるところまで成長した妻でしたが、夫の為に仕事を諦め、介護のために施設の近くに引っ越して行きます。「こんな奥様を得て、羨ましいなー!」という、いささかやっかみ的な思いもありました。

5.大昔まだ学生の頃、有吉佐和子の“恍惚の人”という、初めて認知症(当時は、この言葉がまだ無かったように思います。)をテーマにした、時代に先駆けた小説がありました。ノーベル平和賞の佐藤栄作総理が読んだ感想を述べて、話題になりました。私は未だ読まず仕舞いですが、ご縁あってよ・つ・ばに関わらせていただき、何と士業として認知症と向き合う役目となり、正直言って驚いております。

親愛信託東京・理事 大関 一