傾聴とは?

私が⽇頃⾏政書⼠として相談業務を⾏う中で、意識しているのが、「傾聴
する」ことです。
「傾聴」とは…
相⼿のいうことを否定せず、⽿も⼼も傾けて、相⼿の話を「聴く」会話技
術を指します。意識すべきなのは、相⼿に共感し、信頼していると⽰すこ
と。
(コトバンクから引⽤)
⽿だけでなく⼼も傾けて、相⼿に共感し信頼していると⽰す。
⾔葉で表すと簡単なようで、実際にはなかなか難しいです。
こちら側が信頼していると⽰すからこそ、それを相⼿側が感じて受け⽌め
てくれたならば、話しづらいこともお話してくださるのだなと。
ご相談内容はさまざまですが、⾝近な⽅々との深いお悩みなどであれば、
なおさらです。
限られた時間の中で、傾聴することを意識しながら相談を受けていく。
お話をお聴きしていく中で、解決できること、できないことが整理されて
いく中で、その解決⽅法の⼀つとして、信託が候補としてあがることがあ
ります。
その際に、親愛信託をご提案させていただきます。
お困りごとの解決策に親愛信託がお役に⽴てるかもしれません。
お近くのよつばグループ各社団へご相談ください。
よつばグループは
来⽉10⽉より、毎⽉4⽇を「よつばの⽇」として、セミナーを開催いたしま
す。
松尾陽⼦代表が、講師として全国のよつばグループを巡ります。
第1回のリアル開催は東京。
リアルとオンラインのハイブリッド開催です。
初⼼者セミナーと実務者セミナーの2本⽴てで実施します。
セミナーのお申込みはこちらから
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皆様のご参加、お待ちしております。


よ•つ•ば親愛信託普及連合 理事 林 直美

自分の財産のゆくえ

信託法を学んで一番驚いたのは、自分の死後の財産のゆくえを、相続法とは違う方法で決められることです。

例えば、子供のいない夫婦で、大切な妻に自分の全財産を相続させるという遺言を作成すると、後にその妻が亡くなった場合、その財産はもともとのその財産を築いた夫の親族にではなく、妻の兄弟や甥姪に渡ることになります。夫が祖先から受け継いだ財産であっても、一旦妻の所有となれば、夫側に戻ることはありません。これが民法の規定です。

 仕事柄、様々な遺産争いを見ますが、不動産を含む夫側の遺産について、妻側の相続人が争うことを何とも理不尽に感じてきました。

 ところが、信託法では、一旦妻に渡しても、妻の死後は妻の親族にではなく、自分の親族に戻すことができるのです。

 これは、妻に渡すのが所有権ではなく、受益権だからです。

 この説明が少し難しいのですが、基本的な登場人物は3名です。財産名義人=委託者。その財産から利益を受ける人=受益者。財産名義人である委託者から財産を預かって管理(運用、処分も)し、利益を受益者に渡す人=受託者。財産名義人は「委託者」という名前になり、財産を預かって管理から処分までできてしまう人は「受託者」と言います。そして信託した財産については「所有権者」というものが存在しなくなります。

 具体的にいうと、賃貸アパートの所有者である夫=委託者が、自分の信頼する自分の弟の娘(姪)=受託者に、不動産の管理を依頼する内容の契約をします。=信託契約。この時点で、「所有者」は「委託者」となります。自分が生きている間は、アパートの家賃は自分に振り込まれるように=当初受益者、自分の死後は妻に家賃が振り込まれるように=後継受益者。そして、妻の死後は、信託を終了させて、そのアパートの所有権を復活させて、受託者であった姪を所有権者とします。=帰属権利者。

 妻が亡くなっても信託を終了させないような設計も出来ます。姪を第三次受益者、姪の子を第四次受益者にする、という風に。

 しかし、あまりに長い契約期間とすると、本当にそれが実現できるのか、法律や税制が変わればどうなるのか等、不確定要素が増えていきます。

 ですので、信託の組成を誰に依頼するかが本当に大切になります。

 まずは、ご自分がどうしたいのかのびのび考えて下さい。私達よつばグループのコンサルタントが協力し合って、その希望をしっかりと叶えるために全力でサポート致します。

 親愛信託を使って、相続法に縛られることのない財産のゆくえの可能性を広げましょう。

一般社団法人よ・つ・ば民事信託協会大阪  理事 濵田誠子

相続放棄と民法第940条の改正

 「空き家」に関する相談会を開催すると、親名義のボロボロの空き家があるが、これを相続放棄したいといった内容の相談を時々受けます。相続放棄はすべての財産を相続しないという手続きですので、その中に空き家があってももちろん相続放棄はできます。

 ところが、民法に以下のような規定があります。

 民法第940条第1項「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」(改正前)

 つまり、自身が相続放棄をしても次の管理者に引き継ぐまでは、管理責任が発生するということです。ただ、この管理責任がどこまでの管理を要求しているのか判然としません。例えば、相続放棄をした空き家が倒壊しそうになっている場合、これを修繕することまで要求するのは、難しいのではないかとも思えます。

 この規定が、令和5年4月1日より以下のように改正されます。

 民法第940条第1項「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」(改正後)

 つまり、「現に占有している」相続財産に限り清算人等に引き渡すまでの間、管理責任が発生するように改正されるわけです。

ボロボロの空き家を相続放棄したいと思っている人にとっては朗報かもしれません。

 しかし、相続放棄されて空き家が放置されるという問題は依然残ったままです。

 ではどうすれば良いか。相続放棄の結果、相続人がいなくなってしまった場合は、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任申立てをして、相続財産管理人に引き渡すことで、管理を引継ぐことができ、さらに管理責任を完全に逃れることができます。ただ、相続財産管理人選任の申立ては、それなりの費用がかかりそれが捻出できないため、相続放棄のみして終了しているケースも多いようです。

 このような事態にさせないために、不動産を所有している人が元気なうちに、空き家放置を予防するような手続きをしておくことをお勧めします。遺言や信託契約など、所有者が元気であれば選択肢はたくさんあります。ぜひお早めに検討してみてください。

協同組合親愛トラスト 理事 司法書士 田代洋平