~信託法条文~ 第35条/第36条 よ・つ・ば的解説付

(信託事務の処理の委託における第三者の選任及び監督に関する義務) 重要度2

第35条 第28条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。

当然のことを示しているに過ぎないが、信託の目的を十分に認識しておく必要があるということであろう。

 第28条の規定により信託事務の処理を第三者に委託したときは、受託者は、当該第三者に対し、信託の目的の達成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。

選定した受託者に監督責任を負わせている。

 受託者が信託事務の処理を次に掲げる第三者に委託したときは、前二項の規定は、適用しない。ただし、受託者は、当該第三者が不適任若しくは不誠実であること又は当該第三者による事務の処理が不適切であることを知ったときは、その旨の受益者に対する通知、当該第三者への委託の解除その他の必要な措置をとらなければならない。

 信託行為において指名された第三者

 信託行為において受託者が委託者又は受益者の指名に従い信託事務の処理を第三者に委託する旨の定めがある場合において、当該定めに従い指名された第三者

受託者自らが選定した者ではない場合の免責規定であるが、不適切であった場合の通知義務などを課している。

 前項ただし書の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第3項全体が「別段の定め」の対象となる。

(信託事務の処理の状況についての報告義務) 重要度2

第36条 委託者又は受益者は、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求めることができる。

これも、至極当然のことを示しているに過ぎず、別段の定めも認めていないことから、親愛信託において条文を割いて記載する必要のない事項であると考えられる。

セミナー再開しました!

密を避けるために人数制限させていただきました。

新型コロナウイルスの為に中断していました、セミナーをようやく再開することが出来ました。

もちろん、感染対策には十分に配慮しての開催です。

今回は、テーマは、民事信託では定番の 「 空き家対策 」でした。

このブログをご覧になられていらっしゃる方は、ご存知かと思いますが

家の持ち主であるお父さん(所有者とか名義人などと言われます)が認知症になってしまった場合、重要な資産である家(不動産)は、売却できなくなってしまいます。

認知症になられたお父さんが介護施設に入られたなら、お住まいになられていた家は

もしかしたら空き家になってしまうかもしれません。

空き家になった家は、傷みも早くなりますし、毎年、固定資産税は掛かるし・・・

決して喜ばしい状態ではなくなります。

これが売れれば、お父さんの介護費用の足しになるし、色んな意味でご家族の負担が少なくなるはずです。

では、その予防策、対策として信託も活用できますよ。

では、具体的には・・・

と、言うような内容でした。

当日残念ながらご都合が悪くご参加いただけなかった方は、ぜひ一度ご相談ください。

きっとお役に立つ情報、ご提案ができると思います。

よつば民事信託とやま までお気軽にお電話ください!!

代表理事:山本 和博 より 締めの挨拶

よつば民事信託とやま 理事:布村 之宏 でした!

~信託法条文~ 第33条/第34条 よ・つ・ば的解説付

(公平義務) 重要度3

第33条 受益者が2人以上ある信託においては、受託者は、受益者のために公平にその職務を行わなければならない。

当然のことを示している条文であるが、親愛信託においては、受託者が受益権の一部を取得して受益者を兼ねる場合なども想定されていると考えるべきであろう。

(分別管理義務) 重要度4

第34条 受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。ただし、分別して管理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

受託者が信託財産と自らの固有財産とを分別管理すべきことは当然であるが、ここでも「別段の定め」が可能であるとされており、親愛信託においては、ケースに応じて柔軟な規定を置くことも考えられる。

 第14条の信託の登記又は登録をすることができる財産(第3号に掲げるものを除く。) 当該信託の登記又は登録

不動産や特許権などの登記や登録が可能な財産に関しては、登記や登録が受託者の義務となり、この義務は本条第2項の規定により、「別段の定め」で免除できないとされている。

 第14条の信託の登記又は登録をすることができない財産(次号に掲げるものを除く。) 次のイ又はロに掲げる財産の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法

 動産(金銭を除く。) 信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを外形上区別することができる状態で保管する方法

 金銭その他のイに掲げる財産以外の財産 その計算を明らかにする方法

登記や登録の制度を持たない動産や金銭に関しては、事実上で分別管理ができていれば可としており、必ずしも信託口口座の開設などの特別な取り扱いを求めてはいない。

 法務省令で定める財産 当該財産を適切に分別して管理する方法として法務省令で定めるもの

特定の社債などを指している。

 前項ただし書の規定にかかわらず、同項第1号に掲げる財産について第14条の信託の登記又は登録をする義務は、これを免除することができない。

登記や登録に関しては「別段の定め」で免除できないとしているので、逆に読むと親愛信託において受託者の義務として登記や登録を記載しておく必要はないということになる。

~信託法条文~ 第31条/第32条 よ・つ・ば的解説付

(利益相反行為の制限) 重要度4

第31条 受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。

民法典特有の「利益相反行為」に関する規定であるが、民法の世界では、常に債権者と債務者とは対立関係にあり、互いに自己の利益だけを追求して相手を裏切ることを前提とした「性悪説」で構成されており、親愛信託の世界での前提である「性善説」とは相容れない考え方であるが、条文が存在する限り規制に服することになるので、利益相反行為と見なされないための工夫が必要となる。

 信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を固有財産に帰属させ、又は固有財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を信託財産に帰属させること。

受託者が信託財産を勝手に自分の固有財産にしてしまったり、逆に受託者にとって不要な財産を信託財産に入れてしまったりすることを禁止しており、これは当然の規制である。

 信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を他の信託の信託財産に帰属させること。

商事信託の場合には一人の受託者が複数の信託契約を締結している場合があるので、勝手に別の信託に財産を移すことを禁止している

 第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人となって行うもの

自分が受託者になっている信託財産を売却するとか、金銭信託を用いて新たな信託財産を取得するといったケースで、受託者自身が取引の相手方の代理人となれば、信託にとって不利な契約をするであろうという前提から、これを禁止している。

しかし、公正妥当な金額での取引であれば双方に損失は生じないのであるから、これはまさに民法的な性悪説に基づく利益相反行為禁止の代表例である。

 信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの

これも性悪説を前提として、受託者が信託ではなく個人の利益を優先させることを防止するための規定である。

 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第2号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。

この条文が存在するため、親愛信託においては、民法的な利益相反に対する画一的な取り扱いを回避することが可能となる。

 信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。

「許容」が広く認められるので、親愛信託においては必要に応じて「許容の定め」を置くことになる。

 受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。

「許容の定め」がない場合でも、受託者と受益者との信頼関係があれば、事前に相談することによって許容されるとしている。

 相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。

受託者が二次受益者となった場合などを想定しているものと思われる。

 受託者が当該行為をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該行為の信託財産に与える影響、当該行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるとき。

例えば受託者が個人として信託財産を適正な価格で取得するなど、形式的には「利益相反行為」であっても、現実的には必要な行為であった場合、これを正当な理由として認めるとする規定であり、民法に比べて、かなり柔軟性があると考えられる。

 受託者は、第1項各号に掲げる行為をしたときは、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

通知義務であるが、別段の定めによって免除や軽減が可能となっており、親愛信託においては必要な場合には定めを設けておくことになる。

 第1項及び第2項の規定に違反して第1項第1号又は第2号に掲げる行為がされた場合には、これらの行為は、無効とする。

利益相反行為をしてしまった場合には、取消ではなく「無効」とされる。

 前項の行為は、受益者の追認により、当該行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。

  実際に影響を受ける受益者の追認による有効化を認めている。

 第4項に規定する場合において、受託者が第三者との間において第1項第1号又は第2号の財産について処分その他の行為をしたときは、当該第三者が同項及び第2項の規定に違反して第1項第1号又は第2号に掲げる行為がされたことを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該処分その他の行為を取り消すことができる。この場合においては、第27条第3項及び第4項の規定を準用する。

絶対無効とすると、取引に入ってしまった第三者に影響を及ぼすので、第三者の「悪意」もしくは「重過失」の場合に限り、受益者に取消権を認めている。

 第1項及び第2項の規定に違反して第1項第3号又は第4号に掲げる行為がされた場合には、当該第三者がこれを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。この場合においては、第27条第3項及び第4項の規定を準用する。

前項同様に、第三者の「悪意」もしくは「重過失」の場合に限り、受益者に取消権を認めている。

第32条 重要度2                                 受託者は、受託者として有する権限に基づいて信託事務の処理としてすることができる行為であってこれをしないことが受益者の利益に反するものについては、これを固有財産又は受託者の利害関係人の計算でしてはならない。

これも利益相反行為の一類型として、信託事務の処理について受託者が自己の利益を図ることを禁止している。

 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができる。ただし、第2号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。

 信託行為に当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることを許容する旨の定めがあるとき。

 受託者が当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることについて重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。

前条と同じく、別段の定めや受益者の承諾により許容可能としている。

 受託者は、第1項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算でした場合には、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

これも前条と同じである。

 第1項及び第2項の規定に違反して受託者が第1項に規定する行為をした場合には、受益者は、当該行為は信託財産のためにされたものとみなすことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

受益者が自分にとって不利と考えた場合に、受託者の行為を信託財産のためにして行為であると見做すことができるという規定である。

 前項の規定による権利は、当該行為の時から1年を経過したときは、消滅する。

この条項についてのみ、期間制限を設けている。

【スタッフブログ】経営者保証ガイドラインと親愛信託

事業承継をすすめるにあたってネックになるものに借り入れに対する経営者個人での連帯保証(以下経営者保証とします。)があります。

従業員が承継する場合などは前経営者から財産の相続がないにもかかわらず債務だけを承継することになってしまうし、相続人が事業承継するとしても被相続人が社長のときに作った会社の借入の連帯保証を引き継いで事業承継することを躊躇するケースもあると思います。

このため、経営者保証が中小企業の事業承継を妨げるものとして問題になっており、国は経営者保証ガイドラインをつくり、一定条件をもとに新社長の経営者保証を外すように金融機関に指導しています。

そのため、新経営者に経営者保証をもとめていないケースが増加してきています。

経営者保証ガイドラインでは主債務者、保証人(つまり新旧経営者)に経営者保証をつけない要件として

  • 「① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離」
  • 「② 財務基盤の強化」
  • 「③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保」

について言及しています。

このうち法人と経営者との関係の明確な区分・分離については、適切な役員給与などともに法人の事業用資産の経営者個人所有の解消を求めています。

経営者が法人の事業活動に必要な本社・工場・営業車等の資産を所有している場合、経営者の都合によるこれらの資産の第三者への売却や担保提供等により事業継続に支障を来す恐れがあるためです。

しかし、この部分は経営者保証ガイドラインのなかではネックになりやすい要件であると考えます。

なぜなら、相続を繰り返すことで簡単に会社所有に切り替えられなかったり、税金対策や会社に買取資金が不足しているなどのために会社所有に切り替えることを選択しづらかったりするケースがあるからです。

これらを解決する一つの方法として親愛信託を活用する方法があります。

会社を受託者、経営者をはじめ不動産などの事業用資産の所有者を委託者件受益者とする信託契約を利用することで解決できます。

これにより、実質会社が事業用資産を所有しているのと同じ状況になり、事業継続に支障を満たすような事態を防ぐことができ、経営者保証ガイドラインの要件を満たすことが可能となります。

今後、事業承継をすすめるうえで様々な親愛信託を活用するケースが増加すると思われます。当組合としては経営、法律、税務などの総合的な観点から支援していく所存です。

一般社団法人親愛信託名古屋 代表理事 竹上将人

~信託法条文~ 第29条/第30条 よ・つ・ば的解説付

第二節 受託者の義務等

(受託者の注意義務) 重要度5                        

 第29条 受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。

 受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところに

 信託行為で何も定めなければ「善管注意義務」となるが、2項ただし書きで明確に義務の軽減を認めているので、親愛信託においては、特に事情がなければ「自己の財産と同一」の注意義務で足りると考えるべきである。ただ、あくまでも「注意をもって」と書いてあるので、全く注意義務をゼロにすることはできないと考えるべきであろう。

(忠実義務) 重要度3

第30条 受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。

注意義務に比べて忠実義務は抽象的なものであり、その軽重の概念も定められていないので、信託の目的に照らして一般的に忠実な事務処理であれば問題ないものと思われる。

ここでは敢えて「受益者のために」と書いてあり、信託契約の相手方である委託者のためにするのではないことが特徴である。

【スタッフブログ】毎日のように民事信託の相談、空き家相談、相続の相談を受けます

毎日のように民事信託の相談、空き家相談、相続の相談を受けます。

行政書士(士業)というよりも、不動産と相続の専門家というスタンスです。

宅地建物取引士、行政書士、fp、そして建築系だとインテリアコーディネーター、建築施工管理技士、生前整理アドバイザー、整理収納アドバイザー、ライフオーファナイザー、相続診断士。

どちらかと言うと総合コンサルタント、そして営業マンです。

マルチに仕事をこなす、そして数多い引き出しから民事信託の提案を実務に即して提案したり、組成したりしています。

士業といっても、いろいろなタイプの方がいらっしゃいます。

マニアックな法務理論を展開される方、専門用語が多すぎる方。

頭が民法で信託発想が全くできない。そして信託は不要論をお持ちの方もいた。

信託がなくとも、任意後見でほぼカバーできる?

民法にはある程度の正解がある。信託には結論とかテンプレートがない。

そこが面白いところでもありますが・・・

改正民法の「配偶者居住権」これがいいのか受益者連続信託がいいのか?

制度を比較して組み立てをすると面白い。

ところで、お客様とお話するときに、気をつけた方がいいことがいくつかある。

「遺言」いごんと言わない方がいい。この言葉だけで、お客様が固まったり、違和感を感じて心を開いてくれないケースがありました。

私は ゆいごんと言います。

それから、信託の説明をするときに、箱とケーキの話をしながら、最後に不動産登記は受託者に登記名義が移る。

受託者に所有権が移転する

この言葉を使うと、お客様の頭はパニック!

正解は「管理を任せる子の名前を記載する」これが信託の登記です。

このように、お客様の理解度、常識に合わせてわかり安く伝えることが肝です。

言語明快、難しい専門用語羅列 だけど意味不明 これがお客様の捉え方と理解すべし。

富山 前田プランニングオフィス 前田敏・行政書書士事務所 前田敏

~信託法条文~ 第27条/第28条 よ・つ・ば的解説付

(受託者の権限違反行為の取消し) 重要度3

第27条 受託者が信託財産のためにした行為がその権限に属しない場合において、次のいずれにも該当するときは、受益者は、当該行為を取り消すことができる。

受託者は受益者のために働くのであるから、信託の目的に沿わない権限外行為について受益者に取消権を与えている。

なお、取消権であるから、必ずしも受益者は行使する必要はなく、そのまま有効とする選択肢も与えられているということになる。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が信託財産のためにされたものであることを知っていたこと。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が受託者の権限に属しないことを知っていたこと又は知らなかったことにつき重大な過失があったこと。

取引の安全を考慮し、受益者の取消権発生には、相手方が悪意重過失であることを求めている。

 前項の規定にかかわらず、受託者が信託財産に属する財産(第14条の信託の登記又は登録をすることができるものに限る。)について権利を設定し又は移転した行為がその権限に属しない場合には、次のいずれにも該当するときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。

 当該行為の当時、当該信託財産に属する財産について第14条の信託の登記又は登録がされていたこと。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が受託者の権限に属しないことを知っていたこと又は知らなかったことにつき重大な過失があったこと。

登記や登録を対抗要件とする信託財産に関して別途の規定を置いている。

 2人以上の受益者のうちの1人が前二項の規定による取消権を行使したときは、その取消しは、他の受益者のためにも、その効力を生ずる。

取消権の単独行使と全体への影響について定めている。

 第1項又は第2項の規定による取消権は、受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)が取消しの原因があることを知った時から3箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から1年を経過したときも、同様とする。

取引の安全を考慮して、短い時効期間を設けている。

(信託事務の処理の第三者への委託) 重要度3             

第28条 受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。

 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。

信託行為に何も定めていなかった場合には、第三者への委託は制限されることになる。

 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合において、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められるとき。

専門業務の専門家への委託や単純作業の下請けなどは信託行為に定めがなくても可能であると読み取れる。

 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならない旨の定めがある場合において、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき。

さらに第1項の規制を緩めているので、実質的には専門業務の専門家への委託や単純

作業の下請けなどは可能であると考えられる。

お客様と打ち合わせ 生活習慣病?

お客様にご連絡する。

2年前に空き家セミナーに参加されました。

「その後いかがですか?」

「相続は私の名前でしたはず?」

「もしかした、市役所の固定資産税支払いをする、代表相続人
を決められただけではありませんか?」

「・・・」

「登記されましたよね?遺産分割協議書を作成して、司法書士さんに

登記を依頼されました?」

どうも何にもしてないようです。

「どちらにしても、ここは売れないと思うし、雨漏りしているし、

解体しようかと思っています」
「解体するのなら、売り先が決まってからの方がいいですよ。譲渡時費用
に参入できますから。先に壊すと費用に見てもらえませんから」

セミナーのアンケートでは、大変勉強になりました。来月なくなった父の49日
になりますから、その後今後のことを考えます。

何もしていない。

生活習慣病を連想した。tvでよく健康管理の番組を見る方がいます。

それで行動するかというと・・・だけど・・だって・・・明日から!

食べたい! 痩せたい!  ダイエットは明日から!
相談を受けたときには、行動を支援。時にはせっつくくらいがいい。

次回セミナーの時には。

「今日は十分勉強されました。後は、いいと思われたら実行するだけです」
「時々、お電話します。そして家庭訪問をさせていただきますよ・・・」

セミナーは行動支援だと思います。

~信託法条文~ 第25条/第26条 よ・つ・ば的解説付

(信託財産と受託者の破産手続等との関係等) 重要度2

第25条 受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しない。

信託財産の独立性を示している。

 前項の場合には、受益債権は、破産債権とならない。信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。

  受益債権が全て信託財産責任負担債務であり、他の債権とは性格が異なることを示している。

 第1項の場合には、破産法第252条第1項の免責許可の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。

 受託者が再生手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、再生債務者財産に属しない。

 前項の場合には、受益債権は、再生債権とならない。信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。

 第4項の場合には、再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第235条第1項の免責の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責又は変更は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。

 前三項の規定は、受託者が更生手続開始の決定を受けた場合について準用する。この場合において、第4項中「再生債務者財産」とあるのは「更生会社財産(会社更生法第2条第14項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第169条第14項に規定する更生会社財産をいう。)又は更生協同組織金融機関財産(同法第4条第14項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。)」と、第5項中「再生債権」とあるのは「更生債権又は更生担保権」と、前項中「再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第235条第1項の免責の決定」とあるのは「更生計画又は更生計画認可の決定」と読み替えるものとする。

破産ばかりでなく、民事再生や会社更生の場合でも信託財産の独立性が守られることになっている。

第三章 受託者等

第一節 受託者の権限

(受託者の権限の範囲) 重要度4

第26条 受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。ただし、信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。

受託者の権限について、信託目的に沿った内容であることを求めながらも、信託行為によって制限を加えることも可能であることを示しているが、逆に読むと受託者の権限を「信託の目的の達成のために必要な行為」を超えて「無制限」とすることはできないということになることから、受託者のみの判断による信託財産に関係のない借入行為などは不可能であると考えられる。