~信託法条文~ 第19条/第20条 よ・つ・ば的解説付

(信託財産と固有財産等とに属する共有物の分割) 重要度3     

第19条 受託者に属する特定の財産について、その共有持分が信託財産と固有財産とに属する場合には、次に掲げる方法により、当該財産の分割をすることができる。

 信託行為において定めた方法

 受託者と受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)との協議による方法

 分割をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該分割の信託財産に与える影響、当該分割の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるときは、受託者が決する方法

例えば一個の不動産の共有持分の一部が信託財産、一部が受託者の固有財産となっている際に、民法における共有物分割に準じるルールが適用できると定めている。

実務上で共有物分割が発生する可能性があるとすれば、信託法第17・18条に基づく付合・混和・加工により、実質的な共有状態となったものを解消したいケースであろう。

なお、信託法で「固有財産」と表現されているのは「受託者の固有財産」なので、注意が必要である。

 前項に規定する場合において、同項第2号の協議が調わないときその他同項各号に掲げる方法による分割をすることができないときは、受託者又は受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)は、裁判所に対し、同項の共有物の分割を請求することができる。

 受託者に属する特定の財産について、その共有持分が信託財産と他の信託の信託財産とに属する場合には、次に掲げる方法により、当該財産の分割をすることができる。

 各信託の信託行為において定めた方法

 各信託の受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)の協議による方法

 各信託について、分割をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該分割の信託財産に与える影響、当該分割の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるときは、各信託の受託者が決する方法

 前項に規定する場合において、同項第2号の協議が調わないときその他同項各号に掲げる方法による分割をすることができないときは、各信託の受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)は、裁判所に対し、同項の共有物の分割を請求することができる。

2項以下は一般条項について定めており、特に重要ではない。

(信託財産に属する財産についての混同の特例) 重要度3

第20条 同一物について所有権及び他の物権が信託財産と固有財産又は他の信託の信託財産とにそれぞれ帰属した場合には、民法第179条第1項本文の規定にかかわらず、当該他の物権は、消滅しない。

信託財産の独立性を示している条文で、例えば所有権名義人と地上権名義人が一致した場合、民法では混同で地上権が消滅するが、信託においては混同が生じないとしており、当然の条項である。

 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が信託財産と固有財産又は他の信託の信託財産とにそれぞれ帰属した場合には、民法第179条第2項前段の規定にかかわらず、当該他の権利は、消滅しない。

所有権以外の物権相互に関しても1項と同様の規定を置いている。

 次に掲げる場合には、民法第520条本文の規定にかかわらず、当該債権は、消滅しない。

 信託財産に属する債権に係る債務が受託者に帰属した場合(信託財産責任負担債務となった場合を除く。)

 信託財産責任負担債務に係る債権が受託者に帰属した場合(当該債権が信託財産に属することとなった場合を除く。)

 固有財産又は他の信託の信託財産に属する債権に係る債務が受託者に帰属した場合(信託財産責任負担債務となった場合に限る。)

 受託者の債務(信託財産責任負担債務を除く。)に係る債権が受託者に帰属した場合(当該債権が信託財産に属することとなった場合に限る。)

債権に関しても1項と同様の規定を置いている。

~信託法条文~ 第17条/第18条 よ・つ・ば的解説付

(信託財産に属する財産の付合等) 重要度4                   

第17条 信託財産に属する財産と固有財産若しくは他の信託の信託財産に属する財産との付合若しくは混和又はこれらの財産を材料とする加工があった場合には、各信託の信託財産及び固有財産に属する財産は各別の所有者に属するものとみなして、民法第242条から第248条までの規定を適用する。

財産の付合に関して民法の一般条項を準用するとの規定である。

信託の特性から、受託者名義の財産の中に固有財産と信託財産が混在することになり、それらが付合・混和・加工の対象となった際のルールを定めている。

実際に発生するケースとしては、委託者が認知症等になって行為能力を喪失した後に、建物である信託財産を修繕するために資金が必要となり、受託者が個人として借入(いわゆる受託者借入ではない、適法な本来の借入行為)を行って建物の資産価値を増加させた際などが考えられる。

第18条 重要度4                               

信託財産に属する財産と固有財産に属する財産とを識別することができなくなった場合(前条に規定する場合を除く。)には、各財産の共有持分が信託財産と固有財産とに属するものとみなす。この場合において、その共有持分の割合は、その識別することができなくなった当時における各財産の価格の割合に応ずる。

 前項の共有持分は、相等しいものと推定する。

 前二項の規定は、ある信託の受託者が他の信託の受託者を兼ねる場合において、各信託の信託財産に属する財産を識別することができなくなったとき(前条に規定する場合を除く。)について準用する。この場合において、第1項中「信託財産と固有財産と」とあるのは、「各信託の信託財産」と読み替えるものとする。

前条と同様である。

~信託法条文~ 第15条/第16条 よ・つ・ば的解説付

(信託財産に属する財産の占有の瑕疵の承継) 重要度2

第15条 受託者は、信託財産に属する財産の占有について、委託者の占有の瑕疵を承継する。

民法の一般条項を準用するとの規定で、例えば時効取得年数の善意と悪意の相違などに影響するが、さほどの問題ではない。

(信託財産の範囲) 重要度4           

第16条 信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。

 信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産

「受託者が得た財産」という表現が微妙であるが、不動産を売却して得た金銭が当然に信託財産となることの根拠とも言える。

 次条、第18条、第19条(第84条の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この号において同じ。)、第226条第3項、第228条第3項及び第254条第2項の規定により信託財産に属することとなった財産(第18条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により信託財産に属するものとみなされた共有持分及び第19条の規定による分割によって信託財産に属することとされた財産を含む。)

1項と同様。

~信託法条文~ 第13条/第14条 よ・つ・ば的解説付

会計の原則) 重要度4

第13条 信託の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。

非常に抽象的な条文となっているが、「一般に公正妥当」「会計の慣行」という文意から、商事信託と親愛信託とでは会計に関する取扱いが異なることが前提であると読め、また親愛信託においては29条に基づく受託者の注意義務の軽減を規定しているケースが多いことから、会計についても義務の軽減が可能であると解釈できる。

第二章 信託財産等

(信託財産に属する財産の対抗要件) 重要度3  

第14条 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。

不動産、特許などは信託に関する登記・登録制度を持っているので、対抗要件を取得することが望ましい。

信託登記を留保するケースも見られるが、特に不動産登記は、登記義務者が行為能力を喪失すると、意思確認が厳格化された昨今、申請ができなくなるので注意が必要である。

~相談してはいけない専門家の見分け方~ 第5回目

★第5回目

Q7:信託財産を他者に贈与することは可能ですか?

金:難しいことは分かりませんが、受託者は何でもできるので大丈夫なんじゃないですか。

規:後見制度と同じで、信託財産を減らさないことが受託者の義務であり、贈与は忠実義務違反になるので絶対に不可能です。

懐:信託してまで贈与をする必要はないでしょう。

推:歴史的に信託には財産を贈与する権限を託するという意味もあるので、信託契約に掲げられた目的の範囲に「贈与」が記されているなら、受託者は信託の目的達成のために贈与をしなければならず、逆に贈与しなければ義務違反となります。

Q8:専門家が受託者となるべきと思われますか?

金:専門家が家族信託の受託者としても報酬が得られるようになる法改正が実現することを願っています。

規:本来、信託とは信託銀行や許可のある信託会社が行うべきものなので、もし専門家が民事信託の受託者になるなら、権威ある専門家団体の倫理研修や資格試験が必須になるでしょう。

懐:専門家を受託者にしてまで信託をする必要はないでしょう。

推:本来、親愛信託の受託者は家族などの信頼できる個人や親愛信託専用に作る一般社団法人が無償でやってあげるべきものであり、専門家が業として行うべきではないと思います。

~信託法条文~ 第11条/第12条 よ・つ・ば的解説付

(詐害信託の取消し等) 重要度2

第11条 委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には、受託者が債権者を害することを知っていたか否かにかかわらず、債権者は、受託者を被告として、民法(明治29年法律第89号)第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる。ただし、受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が、受益者としての指定(信託行為の定めにより又は第89条第1項に規定する受益者指定権等の行使により受益者又は変更後の受益者として指定されることをいう。以下同じ。)を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において債権者を害することを知っていたときに限る。

信託の倒産隔離機能を悪用しようとする事例も有り得るので、民法における詐害行為取消権と同様の債権者の権利を別途に条文で認めており、この点でも信託において当然に民法の規定が準用されるものではないことが示されている。

なお、民法改正に伴い、条文の表現の一部が改正されている。

ここでは善意の受益権取得者を保護している。

 前項の規定による詐害行為取消請求を認容する判決が確定した場合において、信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者(委託者であるものを除く。)が当該債権を取得した時において債権者を害することを知らなかったときは、委託者は、当該債権を有する債権者に対し、当該信託財産責任負担債務について弁済の責任を負う。ただし、同項の規定による詐害行為取消請求により受託者から委託者に移転する財産の価額を限度とする。

本項では、取り消し時において善意の信託財産責任負担債務の債権者を保護するため、委託者に責任を負わせている。

 前項の規定の適用については、第49条第1項(第53条第2項及び第54条第4項において準用する場合を含む。)の規定により受託者が有する権利は、金銭債権とみなす。

49条1項は受託者による信託財産からの費用償還の規定であり、取り消された信託に関しての信託報酬などを指すものと思われる。

 委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合において、受益者が受託者から信託財産に属する財産の給付を受けたときは、債権者は、受益者を被告として、民法第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる。ただし、当該受益者(当該受益者が受益権を譲り受けた者である場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)が、受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において債権者を害することを知っていたときに限る。

1項同様、善意の受益者を保護している。

 委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には、債権者は、受益者を被告として、その受益権を委託者に譲り渡すことを訴えをもって請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

1項の取消権以外にも債権者が受益権の譲渡を求める方法があると規定している。

 民法第426条の規定は、前項の規定による請求権について準用する。

 民法426条には「詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から二年を経過したときは、提起することができない。行為の時から十年を経過したときも、同様とする。」とある。

 受益者の指定又は受益権の譲渡に当たっては、第1項本文、第4項本文又は第5項前段の規定の適用を不当に免れる目的で、債権者を害することを知らない者(以下この項において「善意者」という。)を無償(無償と同視すべき有償を含む。以下この項において同じ。)で受益者として指定し、又は善意者に対し無償で受益権を譲り渡してはならない。

本条の潜脱目的をもって受益権を無償譲渡することを禁じている。

 前項の規定に違反する受益者の指定又は受益権の譲渡により受益者となった者については、第1項ただし書及び第4項ただし書(第5項後段において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

前項に続き、本条の潜脱を封じている。

(詐害信託の否認等) 重要度2

第12条 破産者が委託者としてした信託における破産法(平成16年法律第75号)第160条第1項の規定の適用については、同項各号中「これによって利益を受けた者が、その行為の当時」とあるのは「受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が信託法第11条第1項に規定する受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において」と、「知らなかったときは、この限りでない」とあるのは「知っていたときに限る」とする。

 破産法160条は、破産債権者を害する行為を否認できることを定めており、受益者を否認の対象としている。

 ここも民法改正に合わせて条文が改正されている。

 破産者が破産債権者を害することを知って委託者として信託をした場合には、破産管財人は、受益者を被告として、その受益権を破産財団に返還することを訴えをもって請求することができる。この場合においては、前条第4項ただし書の規定を準用する。

受益者の善意悪意によって扱いを分けている。

 再生債務者が委託者としてした信託における民事再生法(平成11年法律第225号)第127条第1項の規定の適用については、同項各号中「これによって利益を受けた者が、その行為の当時」とあるのは「受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が信託法(平成18年法律第108号)第11条第1項に規定する受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において」と、「知らなかったときは、この限りでない」とあるのは「知っていたときに限る」とする。

民事再生についても前項までと同じ取り扱いを定めている。

 再生債務者が再生債権者を害することを知って委託者として信託をした場合には、否認権限を有する監督委員又は管財人は、受益者を被告として、その受益権を再生債務者財産(民事再生法第12条第1項第1号に規定する再生債務者財産をいう。第25条第4項において同じ。)に返還することを訴えをもって請求することができる。この場合においては、前条第4項ただし書の規定を準用する。

  前項に同じ

 前二項の規定は、更生会社(会社更生法(平成14年法律第154号)第2条第7項に規定する更生会社又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成8年法律第95号)第169条第7項に規定する更生会社をいう。)又は更生協同組織金融機関(同法第4条第7項に規定する更生協同組織金融機関をいう。)について準用する。この場合において、第3項中「民事再生法(平成11年法律第225号)第127条第1項」とあるのは「会社更生法(平成14年法律第154号)第86条第1項並びに金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成8年法律第95号)第57条第1項及び第223条第1項」と、「同項各号」とあるのは「これらの規定」と、前項中「再生債権者」とあるのは「更生債権者又は更生担保権者」と、「否認権限を有する監督委員又は管財人」とあるのは「管財人」と、「再生債務者財産(民事再生法第12条第1項第1号に規定する再生債務者財産をいう。第25条第4項において同じ。)」とあるのは「更生会社財産(会社更生法第2条第14項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第169条第14項に規定する更生会社財産をいう。)又は更生協同組織金融機関財産(同法第4条第14項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。)」と読み替えるものとする。

会社更生等についても前項までと同じ取り扱いを定めている。

~信託法条文~ 第9条/第10条 よ・つ・ば的解説付

(脱法信託の禁止) 重要度2

第9条 法令によりある財産権を享有することができない者は、その権利を有するのと同一の利益を受益者として享受することができない。

例えば他の法律で財産の所有を禁止されている者(一定種類の財産に関しての外国人など)に、別人名義を利用できる信託によって実質的に財産権を保有させる目的で組成された信託などが脱法信託となるとしているが、単に「禁止されている者」が受益者としての地位を得るだけで脱法信託となったり、信託全体が無効になるとは読み取れない。

脱税目的で、本当は所有権移転なのに「信託」として登記する事例があるが、これは脱法信託と言うよりも単に虚偽の登記ということになるであろう。

(訴訟信託の禁止) 重要度2

第10条 信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない。

例えば、訴訟を抱えた財産を敢えて信託財産とすることによって受託者を訴訟当事者とするような行為を禁止しているが、「主たる目的」としてはならないとあるだけなので、結果的に受託者が訴訟当事者になることは当然に認められる。

本条は、信託法というよりも、弁護士法の脱法を規制する目的が大きいのではと思われる。

【スタッフブログ】相続における養子縁組の取り扱い

将来の相続のことを考えた時に、例えば子供の配偶者や孫を養子にすることを検討する場合があります。

養子縁組(普通養子)は、親になろうとする人と子になろうとする人の合意で成立し、民法上の制限はありません。ただし、相続税の基礎控除額などを計算するうえで、養子の数が多くなると、課税の公平が保てなくなるため、相続税では以下の通り制限を設けています。

1.養子制度

養子縁組には、養親・養子の同意で行われる一般的な「普通養子」制度と、幼児を実親とは切り離して養親が育てる「特別養子」の制度があります。

「特別養子」の場合は、実親との親子関係は消滅し、養親が死亡した場合にのみ法定相続人となります。

一方で「普通養子」制度の場合は、実親とも親子関係が継続することとなります。

以下、「普通養子縁組」制度のポイントです。

(1)養子は実子と同じように相続人となり、同じ様に法定相続分を持ちます。

(2)養子となっても実親との関係はそのままであり、実親の相続人となります。

(3)養親と養子は同一姓・同一戸籍の原則があります。

(4)養子は原則として養親の姓を名乗ります。

(5)養子縁組の後に生まれた養子の子(いわゆる孫)は代襲相続人となりますが、養子縁組の前に生まれた養子の子は、代襲相続人とはなりません。

2.相続税計算の際の制限について

「遺産に係る基礎控除額」「相続税の総額」「生命保険金(共済金)の非課税額」等の計算をするときには、次のように養子の数の制限が行われます。

【実子がいる場合】
養子が2人以上いても、養子は1人として数えます。

【実子がいない場合】
養子が3人以上いても、養子は2人として数えます。

3.相続対策としての効果

養子縁組は費用がほとんどかからず、届出のみででき、相続税の節税効果もかなり高くなります。ただし、身分関係に係わることですので、慎重に取り組むことが必要となります。なお、孫養子は相続税が2割加算となる点にも注意が必要です。

一般社団法人よ・つ・ば親愛信託ちば 理事 折田紘幸(公認会計士・税理士)

信託制度と後見制度の違い

たまに信託契約と任意後見契約を同一視して
「信託をしたら後見人がいらない」という人がいます。

信託制度と後見制度は役割が違います。
棲み分けをして両方の制度を利用する事は可能です。

一般的に後見制度というのは「人」につくもので、
その人に対して代理をする事ができる制度です。

信託というのは「物」につくもので、
受託者というのは信託財産になっている物に対して権限をもつ制度になる訳です。

実は全く役割が違うので、信託したら後見人がいらない訳ではないのですね。

また、留意しなければいけないのは、
信託財産になっているものは後見人の管理下には及ばない事です。

その性質を利用して、持っている財産の中で一部を信託財産にして外しておいて、
残りは後見人に管理してもらう事も可能です。

このように信託契約制度と後見人契約制度の2つ制度を利用して
非常に柔軟な対策をする事が、実は肝要な話になってくるのです。

よつば民事信託とやま
代表理事 山本和博

~信託法条文~ 第7条/第8条よ・つ・ば的解説付

重要度5 親愛信託でも常に認識しておく必要がある、特に重要な条文。

重要度4 親愛信託では常に使わる訳ではないが、基本項目として重要な条文

重要度3 親愛信託ではあまり使われないが、一応は必要と思われる条文

重要度2 親愛信託ではほぼ使われることはない条文

重要度1 親愛信託とは全く無関係な条文

(受託者の資格) 重要度5

第七条  信託は、未成年者は受託者としてすることができない。

以前は「第7条:信託は、未成年者又は成年被後見人若しくは被保佐人を受託者としてすることができない。」となっていたが、現在は未成年者のみとなっている。

受託者になれない者が未成年者のみとなっており、「成年被後見人」、「被保佐人」が外れている。「被補助人」「任意後見委任者」そして「破産者」は入っていないことに注目しなければならない。

法人ではない任意団体やLLP(有限責任事業組合)が受託者になれるか否かについては、本条のみでは明らかではない。

(受託者の利益享受の禁止) 重要度5

第八条  受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。

信託財産は受託者の財産ではないので、当然の規定であるが、この条文がありながら、債務に関しては受託者個人の財産も引き当てとされるので、信託報酬の受領が前提とはなっていない親愛信託においては、一方的に受託者が不利な立場に、逆に債権者が有利な立場に立つことになり、論理矛盾をきたしているように思える。