~信託法条文~ 第39条/第40条 よ・つ・ば的解説付

(他の受益者の氏名等の開示の請求) 重要度1                  

第39条 受益者が2人以上ある信託においては、受益者は、受託者に対し、次に掲げる事項を相当な方法により開示することを請求することができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 他の受益者の氏名又は名称及び住所

 他の受益者が有する受益権の内容

本条は、不特定多数の受益者が存在する商事信託を前提とした規定であると思われ、親愛信託において問題とすべき論点ではない。

 前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。

 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。

 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

 請求者が前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

 請求者が、過去2年以内において、前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

 前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第三節 受託者の責任等

(受託者の損失てん補責任等) 重要度3                    

 第40条 受託者がその任務を怠ったことによって次の各号に掲げる場合に該当するに至ったときは、受益者は、当該受託者に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、第2号に定める措置にあっては、原状の回復が著しく困難であるとき、原状の回復をするのに過分の費用を要するとき、その他受託者に原状の回復をさせることを不適当とする特別の事情があるときは、この限りでない。

 信託財産に損失が生じた場合 当該損失のてん補

 信託財産に変更が生じた場合 原状の回復

本条も受託者が「業」として行う商事信託を前提とした規定であると思われるが、「別段の定め」を認めていないことから、親愛信託においても適用はされてしまうので、注意が必要である。

 受託者が第28条の規定に違反して信託事務の処理を第三者に委託した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、第三者に委託をしなかったとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、前項の責任を免れることができない。

受託者が選定した第三者についても受託者に責任を負わせる規定である。

 受託者が第30条、第31条第1項及び第2項又は第32条第1項及び第2項の規定に違反する行為をした場合には、受託者は、当該行為によって受託者又はその利害関係人が得た利益の額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定する。

忠実義務違反や利益相反行為によって発生した損害についての責任規定である。

 受託者が第34条の規定に違反して信託財産に属する財産を管理した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、同条の規定に従い分別して管理をしたとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、第1項の責任を免れることができない。

分別管理義務違反によって発生した損害についての責任規定である。

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