【スタッフブログ】信託契約書を公正証書にするケース

契約というのは契約の当事者の意思が合致していれば必ずしも書面で行う必要はありませんが、書面に残すことで契約当時の意思をあとから確認できますし、双方の意思を文章で確認して認識の食い違いを防ぐためなどの理由で、契約を締結するときはまず書面で、ということが当たり前のように行われています。


書面契約が通常としても、契約書を公正証書で、とするとおそらく件数的にはグッと減るのではないかと思われます。ただ、信託契約書は比較的公正証書でなされることが多い契約ではないかと思います。私どもで公正証書での親愛信託契約締結をお勧めするケースは以下のとおりです。

契約の片方の当事者である委託者がご高齢で、ご高齢=行為能力(法律用語で、契約を有効に締結できる状態であることを【行為能力がある】と言います)がない、として契約の有効性に疑問を生じさせないためにも、公証人の先生が関与して契約を締結することが大切との考えからです。いわゆる「真正担保」のためです。


公正証書で契約書を作りますと、原本が1通…こちらは公証役場に保管され、(保管期間は公証人法施行規則第27条第1号により、20年です。)それを元に正本又は謄本が契約者に交付されることとなります。
公正証書の【正本】には、公証人の署名捺印がされ、原本と同一の全文、正本であること、交付請求した者の氏名、作成の年月日と場所が記載されます(公証人法第48条)。
 また、公正証書の【謄本】には、公証人の署名捺印がされ、原本と同一の全文、謄本であること、作成の年月日と場所が記載されます(公証人法第52条)。


 今は、信託金銭を管理するための専用の口座(「信託口口座」と言います)を作るとき、この信託契約書公正証書の謄本の提出を義務付けている銀行も多く出てきています。
また、親の財産を巡って子供たちに争いが起こりそうな場合、第三者に向けて信託契約が適正に締結されたことを主張したい場面が予想される場合は、将来において疑義が起こらないように、信託契約書は公正証書で締結することをお勧めしております。

一般社団よ・つ・ば親愛信託ちば 理事 AM

参考条文
公証人法施行規則
第二十七条 公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。
一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年
二 拒絶証書謄本綴込帳、抵当証券支払拒絶証明書謄本綴込帳、送達関係書類綴込帳 十年
三 私署証書(公証人の保存する私署証書を除く。)の認証のみにつき調製した認証簿、確定日付簿、第二十五条第二項の書類、計算簿 七年

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