~信託法条文~ 第95条/第95の2/第96条        よ・つ・ば的解説付

【受益権の譲渡における受託者の抗弁】 重要度2

第95条 受託者は、前条第1項の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

前条と同じく、債権譲渡の規定を準用している。

【共同相続における受益権の承継の対抗要件】 重要度5              

第95条の2 相続により受益権が承継された場合において、民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該受益権を承継した共同相続人が当該受益権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該受益権を承継した場合にあっては、当該受益権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして受託者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が受託者に通知をしたものとみなして、同法第899条の2第1項の規定を適用する。

民法改正を受けて新設された条文である。

信託行為に基づく受益権の移動は「相続」ではないが、これを相続と見るとする考え方も根強く残っているので、それに配慮した条文ではないかと思われる。

敢えて「相続による受益権が承継された場合」と表記することによって結論を回避しているようであるが、そもそも信託法の立法的な部分からの解釈の揺れが感じられる条文である。

【受益権の質入れ】 重要度4                          

第96条 受益者は、その有する受益権に質権を設定することができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

 前項の規定にかかわらず、受益権の質入れを禁止し、又は制限する旨の信託行為の定め(以下この項において「質入制限の定め」という。)は、その質入制限の定めがされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった質権者その他の第三者に対抗することができる。

受益権は譲渡と同様に質入も可能としており、また別段の定めによる質入の制限や禁止も可能としている。

なお、民法改正に合わせて、条文の一部が改正されている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です