~信託法条文~ 第49条/第50条 よ・つ・ば的解説付

(費用等の償還等の方法) 重要度2

第49条 受託者は、前条第1項又は第2項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けることができる場合には、その額の限度で、信託財産に属する金銭を固有財産に帰属させることができる。

償還や前払いの場合の規定で、当然のことを定めている。

 前項に規定する場合において、必要があるときは、受託者は、信託財産に属する財産(当該財産を処分することにより信託の目的を達成することができないこととなるものを除く。)を処分することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

金銭信託が足りない場合などにおいて、信託財産の処分を認めている。

 第1項に規定する場合において、第31条第2項各号のいずれかに該当するときは、受託者は、第1項の規定により有する権利の行使に代えて、信託財産に属する財産で金銭以外のものを固有財産に帰属させることができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

利益相反行為の許容によって受託者が信託財産を取得する場合には、金銭以外の信託財産を直接取得できるとする規定である。

 第1項の規定により受託者が有する権利は、信託財産に属する財産に対し強制執行又は担保権の実行の手続が開始したときは、これらの手続との関係においては、金銭債権とみなす。

 信託財産に対して受託者が持つ債権として一定の保護がされている。

 前項の場合には、同項に規定する権利の存在を証する文書により当該権利を有することを証明した受託者も、同項の強制執行又は担保権の実行の手続において、配当要求をすることができる。

受託者も債権の範囲においては他の債権者と同等の権利が認められている。

 各債権者(信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者に限る。以下この項及び次項において同じ。)の共同の利益のためにされた信託財産に属する財産の保存、清算又は配当に関する費用等について第1項の規定により受託者が有する権利は、第4項の強制執行又は担保権の実行の手続において、他の債権者(当該費用等がすべての債権者に有益でなかった場合にあっては、当該費用等によって利益を受けていないものを除く。)の権利に優先する。この場合においては、その順位は、民法第307条第1項に規定する先取特権と同順位とする。

公平の観点から、受託者の持つ債権に一定範囲での優先権を認めている。

 次の各号に該当する費用等について第1項の規定により受託者が有する権利は、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号の財産に係る第4項の強制執行又は担保権の実行の手続において、当該各号に定める金額について、他の債権者の権利に優先する。

 信託財産に属する財産の保存のために支出した金額その他の当該財産の価値の維持のために必要であると認められるもの その金額

 信託財産に属する財産の改良のために支出した金額その他の当該財産の価値の増加に有益であると認められるもの その金額又は現に存する増価額のいずれか低い金額

 前項の優先権に関する具体的規定である。

(信託財産責任負担債務の弁済による受託者の代位) 重要度4

第50条 受託者は、信託財産責任負担債務を固有財産をもって弁済した場合において、これにより前条第1項の規定による権利を有することとなったときは、当該信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者に代位する。この場合においては、同項の規定により受託者が有する権利は、その代位との関係においては、金銭債権とみなす。

信託財産責任負担債務においては、我が国では受託者が個人として債務者となる構成しか取れないため、受託者が個人財産からの弁済を余儀なくされるケースが考えられ、その場合には弁済先の債権者の権利を引き継ぐことが可能として救済の一つとしているのではないかと考えられるが、実際に受託者が個人財産から弁済をするケースでは信託財産は既に破綻している可能性が高いので、実効性は薄いのではないかと思われる。

 前項の規定により受託者が同項の債権者に代位するときは、受託者は、遅滞なく、当該債権者の有する債権が信託財産責任負担債務に係る債権である旨及びこれを固有財産をもって弁済した旨を当該債権者に通知しなければならない。

前項のケースにおける具体的取り扱いを定めている。

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