~信託法条文~ 第27条/第28条 よ・つ・ば的解説付

(受託者の権限違反行為の取消し) 重要度3

第27条 受託者が信託財産のためにした行為がその権限に属しない場合において、次のいずれにも該当するときは、受益者は、当該行為を取り消すことができる。

受託者は受益者のために働くのであるから、信託の目的に沿わない権限外行為について受益者に取消権を与えている。

なお、取消権であるから、必ずしも受益者は行使する必要はなく、そのまま有効とする選択肢も与えられているということになる。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が信託財産のためにされたものであることを知っていたこと。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が受託者の権限に属しないことを知っていたこと又は知らなかったことにつき重大な過失があったこと。

取引の安全を考慮し、受益者の取消権発生には、相手方が悪意重過失であることを求めている。

 前項の規定にかかわらず、受託者が信託財産に属する財産(第14条の信託の登記又は登録をすることができるものに限る。)について権利を設定し又は移転した行為がその権限に属しない場合には、次のいずれにも該当するときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。

 当該行為の当時、当該信託財産に属する財産について第14条の信託の登記又は登録がされていたこと。

 当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が受託者の権限に属しないことを知っていたこと又は知らなかったことにつき重大な過失があったこと。

登記や登録を対抗要件とする信託財産に関して別途の規定を置いている。

 2人以上の受益者のうちの1人が前二項の規定による取消権を行使したときは、その取消しは、他の受益者のためにも、その効力を生ずる。

取消権の単独行使と全体への影響について定めている。

 第1項又は第2項の規定による取消権は、受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)が取消しの原因があることを知った時から3箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から1年を経過したときも、同様とする。

取引の安全を考慮して、短い時効期間を設けている。

(信託事務の処理の第三者への委託) 重要度3             

第28条 受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。

 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。

信託行為に何も定めていなかった場合には、第三者への委託は制限されることになる。

 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合において、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められるとき。

専門業務の専門家への委託や単純作業の下請けなどは信託行為に定めがなくても可能であると読み取れる。

 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならない旨の定めがある場合において、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき。

さらに第1項の規制を緩めているので、実質的には専門業務の専門家への委託や単純

作業の下請けなどは可能であると考えられる。

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