【スタッフブログ】親愛信託とは何?

コロナ禍の中、信託に関するご相談が急増しています。

これまでは、亡くなるということが他人事で、まだまだ先の事だから、そのうちなんとかすればいいと思っていたことが、自分にもいつどこで、どうなるかわからないから将来のことを考えておかないといけないとなっているような気がします。

それから、コロナの影響で考える時間が出来ているということもあります。これまでは毎日いろんなことに追われて、なかなか自分の将来の事や財産のことを考える時間がなかったけれども、コロナで外食が出来なくなり、飲み会がなくなり、考える時間が出来たというのも相談が増えた要因のような気がします。

あとは、家族に会える時に会っておかないといけない、という考えになって、家族で話し合う機会が増えたという事のような気がします。いつでも会えると思うと、なかなか会いに行かないけれど、コロナの影響で会えなくなるかもしれないとなると、会える時に会っておかなければいけないと会いに行くようになり、ほとんど連絡もしなかったという人も家族に「変わりはないか?体調はどう?」と連絡する機会が増えたというのも聞きます。

・亡くなることが自分ごとに考えられるようになった(死だけは必ず誰にでもやってくるものです)

・考える時間が出来た

・家族や大切な人とのコミュニケーションが増えた

この3つが信託や将来に関する相談が増えた要因と思います。

私たちの取り組んでいる信託は、業として行われる商事信託ではない信託行為のお手伝いです。金融行為である商事信託と違って、信頼関係のもとで行われるものです。

民事信託という言葉でなく親愛信託という言葉を使うようになったのは、最初からではなくて実務を行っていくうえで生まれたものです。

自分の財産の管理や承継に対して、ご相談を受ける中で、信託をご提案する際に「民事信託」もしくは「家族信託®」という言葉を使っていたのですが、「民事信託」に関しては、民事裁判や民事事件というものを連想してしまうため、なんとなく争いごとを考えてしまいますという意見を聞くようになり、「家族信託®」に関しては、相談者から「私には家族がいないので信託はできないのでしょうか?」という質問や「家族信託®の契約は何親等以内の人と出来るのでしょうか?」というような質問を受けることが割と多くあり、誤解何かもっと適切な言葉はないかと考えた結果「親愛信託」とすることに決めました。

「親愛信託」に命名した意味は、信託とは財産を持っている人が、信頼できる人に自分の財産を託すという行為になるのですが、まず財産を託された人はその財産の管理をしたり、処分をしたり、次に適切に引継げるようにすることになるのですが、基本的には無報酬で行います。それは、財産を持っている方の意思を尊重して、その方の目的を達成するためにいろいろな行為を行うという、親が子のためを想い無償の愛で愛情を注ぐ行為のようなものです。そして、財産を持っている方は、自分の選んだ人を100%信じて、財産を託すことになります。これは子供が親のことを何の疑いもなく信じているようなものです。

民法上の家族や戸籍に関わらず自分の信頼できる人との間で成立するのが、親愛信託です。もちろん、戸籍上の関係にこだわらずというだけで、家族や親子で信託契約することが多いです。ただ、信頼できる人が親族だったというだけで、戸籍上の親族でないといけないというわけではないのです。

私たちがお手伝いしている信託行為は、親と子の無償の愛情の関係のようなものということで、「親愛信託」と呼んでいます。

従来昔から契約の必要なく、慣習として行われていたものが、ごく一部の心無い人がいるために、本人確認が非常に厳しくなってきています。さらに、離婚や再婚を繰り返したり、さまざまな事情で相続関係が複雑になり、以前は少なかった争いごとが増えてきています。

そのようなことを望んでいる人はいないと思います。純粋な親子の愛のように思いやりの心で財産事を考えてほしいという想いも込めています。

相続問題を解決するための相続対策・生前対策には、信託だけでなく遺言作成、成年後見人の選任申立、任意後見契約など、多くの方法があります。「親愛信託」との違いは、遺言はよく知られている制度ですし、身近に感じられる方も多いと思います。ただ、遺言の効力はその方が亡くなってからなので、老後の対策にはなりませんし、自分の想いを言葉で伝えることにもあまり適していません。自分がお元気な間に大切な人に気持ちを伝えるという点では親愛信託の方が伝えやすいし、自分の財産について、しっかり考えるきっかけにもなります。老後の対策にもなりますので、その点では遺言より優れていると思います。

ただ、信託契約で信託財産にできるものは、その契約をした時に持っている財産になるので、そのあとに増えた財産は追加信託するか、遺言で誰に渡すのかを決めておく必要があります。ということは、遺言で出来ないことを親愛信託では出来るけれども、やはり遺言も必要ということになります。

成年後見人の選任の申立てをして、成年後見人が選任された場合の成年後見人のお仕事内容は財産の管理と身上監護になります。財産管理の面では、自由度が少なく使いづらいということで、その点では自分の思った通りに財産管理や承継が出来る親愛信託が優れています。ただ、信託は財産に対してだけなので、身上監護の部分は必要であれば、成年後見人制度を使うことになります。任意後見契約も同じです。

親愛信託は、お元気な時も老後少し弱った時もお亡くなりになった時も、お亡くなりになった後の何代か先の時にも対応ができ、しかも、管理の方法や承継の方法を自分の思った通りに契約できるというとても優れたものです。

「親愛信託」もメリット

 ・財産に対して、管理の方法や承継方法を自由に決められる。

 ・管理する人と承継する人を別々のルートで指定することができる。

・自分の亡くなった後、何代先までも指定できる。

 ・民法や法定相続に関係なく指定できる。

 ・受益者連続にしておけば相続手続きの必要がなく、契約で決めた人に財産が承継される。

ただし、財産についてのみなので、身上監護などに関しては後見制度などを使う必要があります。

信託制度と後見制度の違い

たまに信託契約と任意後見契約を同一視して
「信託をしたら後見人がいらない」という人がいます。

信託制度と後見制度は役割が違います。
棲み分けをして両方の制度を利用する事は可能です。

一般的に後見制度というのは「人」につくもので、
その人に対して代理をする事ができる制度です。

信託というのは「物」につくもので、
受託者というのは信託財産になっている物に対して権限をもつ制度になる訳です。

実は全く役割が違うので、信託したら後見人がいらない訳ではないのですね。

また、留意しなければいけないのは、
信託財産になっているものは後見人の管理下には及ばない事です。

その性質を利用して、持っている財産の中で一部を信託財産にして外しておいて、
残りは後見人に管理してもらう事も可能です。

このように信託契約制度と後見人契約制度の2つ制度を利用して
非常に柔軟な対策をする事が、実は肝要な話になってくるのです。

よつば民事信託とやま
代表理事 山本和博

認知症と不動産売却

 こんにちは!よつば民事信託とやまの布村です。

私は、不動産と建築業を営んでいます。

昨年より土地や住宅の売却のご相談を受けるほとんどが、お父さんの土地、おじいちゃんの住んでいた

家などです。

相談にいらっしゃるご家族が、50代~。当然お父さんは70歳を超えていらっしゃいます。

そんなご相談で、まず始めにおうかがいするのが、「お父さんお元気ですか?」です。

実はこの言葉には、沢山聞きたいことが詰まっていて

「お父さんお元気ですか?」「ご病気なさっていませんか?」そして肝心の「頭、ハッキリしていらっしゃいますか?」です。

家や土地などの不動産って、お父さんにとっての重要な財産なので、所有者であるお父さんが、

「売る」という事をちゃんとわかって、「売りますよ。」と意思表示が出来ないと売れないんです。

とお話しすると、ほとんどの方が、えっ!?と言う顔をされます。

そうです。所有者が認知症だと、その方の名義の不動産は、売買できないんです。

私たちにとっては、基本の事ですが、一般の方は、まだまだご存知ない方が多いです。

そして、民事信託=親愛信託も同じで、まだまだご存知ない方がほとんどです。

これからも益々増えると思われる相続不動産の売却相談。

残念ながら今は、売却できません。と言う事が増えると思います。

様々な理由で、売却したい、お金に換えたいと言う時にできないと、ご家族にとって大きな大きな負担になることがあります。

そうならないための1つの解決方法が「信託」です。

先ずは皆さん、お父さんが認知症になると、お父さんの名義の土地や家は、売れなくなるということを

知ってください。そして転ばぬ先の杖として信託という制度があることを知ってください。

詳しくは、お気軽にお問い合わせください。


よつば民事信託とやま 理事 布村 之宏

成年後見人をしていて思うこと

 私は社会貢献の一環として成年後見人をさせて頂いたいます。
 成年後見人をしていると「民事信託組んでおけば解決できるのに」というシュチュエーションに身をもって遭遇します。
 
 一番困るのは認知症が進行すると、あらゆる財産上の手続ができなくなる事です。 
 身近なところで言えばお金をおろせなくなることでしょう。
 「家族さえも」おろせなくなってしまいます。
 
 そうのなると裁判所に後見人開始を申立てという面倒な手続き経て、やっとお金をおろせる事ができるという流れになります。

 もっと早く被後見人の方にお会いできていれば「信託契約のご提案をできたの」にと思うと同時に、そうならない為にも元気なうちに信頼できる人に財産を託す「信託契約」を組んでいく事が解決策としては肝要かと思う次第です。

 よつば民事信託とやま
 代表理事 山本 和博