ペット信託
<脱走犬モップちゃんとの出会い>
愛犬と近所を散歩していたある日のことです。
毛むくじゃらなモップのような物体を歩道で見つけました。
よく見てみると犬のようです。かなり汚れていて、迷い犬だと思いました。
その犬(以下、モップちゃん)は慣れた足取りで商店街を歩いています。魚屋さんの前に来ると店主は“また来たのか”といった顔でオヤツをあげていました。
気になった私は、店主に「この犬って(まさか←心の声)飼い犬なんですか?」と尋ねました。すると店主は「そうなんだよね~、こう見えても近所のおばあちゃんが飼っていて、時々脱走してくるんだよ」と。
まさかの飼い犬!?こうなると気になってしょうがありません。質問も止まりません。
「でも、こんなに毛玉もできてるし、汚れているし、どうしてなんですか?」
「どうやって脱走してくるんですか?」などなど…
すると、この飼い主さん、高齢で少し認知症があるらしく、家の玄関の鍵を時々閉め忘れてしまうため、賢いモップちゃんは脱走してくること、また、体が不自由になってきているせいで、キチンとしたお手入れができないんじゃないかと教えてくれました。
言葉を失っている私にモップちゃんは“撫でて、撫でて!”と言わんばかりにお腹を見せたり、体をこすりつけたりして甘えてきます。とっても愛くるしい笑顔で。
これだけ人間のことが大好きで慣れているので、飼い主さんは愛情をもって接しているのでしょう。しかし、モップちゃんはヨークシャテリアという犬種で毛のカットやブラッシングなどのお手入れが必須の犬種だったのです。
お手入れされずに伸びた毛は固い毛玉になっていました。お尻にも大きな毛玉があちこちにできていて排泄物がこびりついています。愛くるしいお顔にもあちこちに大きな毛玉があります。さぞかし重たくて、体中痒そうで、かわいそうになりました。
その後、私は近くの交番までモップちゃんを届けました。
警察官は慣れた様子で「モップちゃんね、いつも脱走しちゃうんだよね~。飼い主さんにはいつも注意してるんだけど」と。
その言葉を聞いてちょっとイラついてしまった私は、「この近くには大きな二車線の道路もありますし、事故とかなる前にもう少し何とかできませんか?」と尋ねました。
しかし、警察官としてできることは見回りを強化することくらいだそうで…
結局、その日はモヤモヤしながらその場を離れました。
<私がとった次の行動>
次の日になってもその次の日になってもモップちゃんのことが頭から離れない私は、ネットなどで調べていくうちに飼い犬をお手入れしないことは消極的虐待(ネグレクト)に該当することを知ります。
動物虐待とは、「動物を不必要に苦しめる行為のこと」です。
正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、消極的虐待(ネグレクト)と呼ばれる行為も含まれます。
このことを知ってしまった以上、黙っていることができなかった私は、保健所に相談しました。お散歩やトリミングなど、困ったことがあればいくらでも協力すると飼い主の方にお伝えしていただき、万が一、モップちゃんが保健所預かりなどになるようなことがあったらうちの仔にする覚悟もあります!と。(今思えばうざいくらいだったかもしれません…)
保健所の方は、飼い主さんを訪問して今後の対策等決まり次第ご報告してくださることをお約束してくれました。
3週間ほど経ったころに保健所から飼い主さんの娘さんがお母様とモップちゃんの面倒を見てくださることになりましたと連絡がありました。
その後、近所でモップちゃんの姿を見かけることはなくなりました。
きっと娘さんのところで飼い主さんと一緒に幸せに暮らしているのでしょう。
この方の場合、娘さんが面倒を見てくれることになりましたが、それは結果的にそうなったに過ぎないのです。
もっと早くに対策を立てておけば、モップちゃんはあんなに毛玉だらけの体にならずに済んだのではないでしょうか。
<ご高齢の方がペットを飼う場合>
動物の愛護及び管理に関する法律には、動物の飼い主は、その動物が命を終えるまで 適切に飼養する「終生飼養」の責任があることが明示にされています。
ペットが安全に安心して暮らせる環境を用意してあげることが飼い主の努めなのです。
ご高齢の方がペットを飼う場合、ご自身のことと同じくらいペットのことで多くの心配事があるのではないでしょうか。
>病気になって入院することになったら…
>身体が不自由になって施設に入ることになったら…
>万が一、先立つようなことがあったら…
>預け先は決めているけど、ちゃんとお世話してくれるかしら…
>犬猫ホームは決めているけど、私が認知症になったらお世話代の支払いは娘ができるのかしら…
などなど…
<老後を安心してペットと暮らすために>
先に述べた心配事を【ペット信託®】を使うことで解決することができる場合があります。
ペット信託®を使うために必要なことは、
ポイントは【自分が元気なうちに】です。
たったこれだけで、安心して老後を大切なペットと過ごすことができるのです。
もちろん、それぞれの状況などで考えなければならないことはあると思いますが、シンプルに考えるとこの2点だけなのです。
あなたの大切なペットを守れるのは、飼い主であるあなただけなのです。
こんなはずじゃなかった…となる前に事前の対策を講じたいものですね。
【ペット信託®】についてもっと詳しく知りたい場合は、こちらのブログをご覧ください↓
※【ペット信託®】は、よつばグループ(協同組合親愛トラスト)の登録商標です。
一般社団法人親愛信託東京 代表理事
愛玩動物飼養管理士
ペット信託プランナー
髙橋志乃