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少子化と多死化社会が重なり、家族と疎遠な方や子どもを持たない方も増え、自分が亡くなった後の整理に不安がある方もいます。
一方で、長年暮らした地域に思い入れを持つ方々の中には、「自治体に財産を託したい」という希望を持つ方もいます。
遺贈の受け入れ制度を整えている自治体も存在しますが、遺贈では死後の整理の不安は解消されません。
北海道を愛する私の親しい知人から、
「死んだ後の整理をしてもらえたら、残りの財産は寄附する。ぜひ道にやっていただきたい。」
との話をいただきました。
遺贈の受け入れ制度について、全国を見ると、すでに導入し、地域づくりや福祉施策の財源として活用している自治体も存在し、地域にとっては大きな力となっています。
しかし、身近な制度とは言い難く、単身者の終末期の課題解決とセットにされているわけではありません。

そこで注目したいのが、信託法の活用です。
信託法を活用することで、受託者と自治体の双方にメリットがある制度となります。
寄附をされた方のご芳名を何かに刻む、あるいはホームページ上に記載して永久に残すなどできれば、さらに希望者が増えるでしょう。
その子孫や親戚、知人等が名前を見つければ、北海道に縁のある者として関係人口の創出にもつながる可能性があります。
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そこで議会で、
本人を委託者、受託者には親しい知人や、本人が信頼できる方、あるいは自治体が紹介する専門性を持った人を置き、受益者を自治体とする信託契約により、
本人の死後の事務整理を受託者が責任をもって行い、残余財産は自治体が受益する仕組みの構築を提案しました。

これに対し、遺贈寄附に関しては、
遺言書などにより、生前に本人の意思を遺しておき、亡くなった後に遺産の一部または全部を寄附するものであるとされています。
そして、社会に貢献したいという寄附される方の思いに基づき、自治体などに寄附され、活用されているとの認識が示されました。
そのうえで、関係部局の連携のもと、寄附のご意向を示された方の思いを丁寧にお伺いし、必要に応じて司法書士や行政書士といった専門的知見を有する専門家や専門機関への相談を促すとされています。
また、寄附を希望される方に寄り添って対応するとともに、信託法の活用を含めた検討や、他自治体の状況の情報把握に努めるとの答弁でした。
まだ議会で提案した段階ではありますが、政治的に意見が分かれる案件ではありません。
全国の地方自治体は1,700以上あります。
ひとつの自治体が道筋をつくれば、同様のスキームが広がる可能性があり、大きな社会的インパクトを持つ仕組みとなり得ます。
こうした取り組みを各地域で実現していくためには、制度だけでなく、実務を担う専門家のネットワークも重要です。
全国には、親愛信託(家族信託)や信託実務に取り組む専門家が連携する「よつばグループ」があり、地域ごとに活動を行っています。

令和8年5月8日
一般社団法人 よ・つ・ば民事信託北海道
理事 渕上 綾子
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