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先日、法務省の法制審議会民法(成年後見等関係)部会において、
「民法等の改正に関する要綱案」が取りまとめられました。
これにより、
現行の成年後見制度が大きく見直され、より利用しやすい制度設計へと転換されていくことが確実となりました。
具体的には、
「一度使うと一生続く制度」から「必要な場面だけスポットで使う制度」へと変更されます。
従来の成年後見制度には、
「やめる」という選択肢がほぼ存在しないという構造的な問題がありました。
そのため、後見審判を申し立てた当初の目的が達成された後も、
本来不要な専門職に報酬を払い続けなければならないという
不合理な状況が続いていました。
しかし今回の見直しでは、
ようになる見込みです。これにより、
「不動産売却のためだけに利用」
「遺産分割協議が終わったら終了」
といったスポット的な利用が制度として認められることになります。
また、後見人の権限についても、
包括的な法定代理権から必要な事項に限定した部分的な代理権へと制限できるようになるなど、
新しい成年後見制度の枠組みは、信託を組成した場合と同様の結果につながることが期待されます。
では、そのように成年後見制度が柔軟化すると、
民事信託は今後不要になるかというと、そうではありません。
むしろ、それぞれの役割分担が明確になり、より普及が進むと考えるべきでしょう。
まず、後見は
本人の判断能力が低下してからしか開始されない制度です。
一方で信託は、
本人の意思がはっきりしている時期から即時に開始できます。
また、改正後の成年後見制度も
家庭裁判所の監督に服する点は変わりませんが、
民事信託はそのような制約がなく、
信託監督人についても自由に設計できます。
両者の違いを一言で表すと、
成年後見は「事後的に消極的に利用する制度」
民事信託は「事前に積極的に利用する制度」
といえるでしょう。
ただし、両者は競合ではなく、
補完関係にある点は今後も同様です。
今回の改正は、成年後見制度の「使いにくさ」を解消するものです。
しかし、それ以上に重要なのは、
今後の人生設計において「どの制度をどう使うか」という
個々人の選択の重要性が増したという点です。
「どの制度を使うか」
「いつ使うか」
「どのように中身を詰めるか」
「どのように終了させるか」
こうした制度設計が、
今後、専門職の主たる業務になると予想されます。
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