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成年後見制度と親愛信託の違いは?

認知症対策として、成年後見制度がよく知られていますが、本日は親愛信託との違いについてお伝えしたいと思います。

最も異なるのは、その対象です。

成年後見制度の対象は主に「人」であり、親愛信託の対象となるのは「物」です。

親愛信託を使うと成年後見制度を使わなくて良い、またはその逆で成年後見制度を使うと親愛信託は使わなくて良いというわけではありません。

成年後見制度と親愛信託では、全く役割が違うので、ケースに応じて制度を使い分ける、あるいは併用して制度を活用することが大切です。

【成年後見制度と親愛信託の役割の違い】

※成年後見制度には法定後見と任意後見があります。(こちらの違いについては、またの機会に!)

万が一、ご本人が認知症になってしまうと、自宅の贈与・賃貸・売買などの契約行為は一切できなくなってしまいます。

例えば、介護施設への入居費用として、自宅を売却した代金でその費用に充てようとしても自宅を売却することができません。

何も対策をしないまま認知症になってしまうと財産の管理は、法定後見制度を活用するしか方法はありませんが、活用した場合でも自宅を売れるとは限りません。

本人の財産は家庭裁判所が厳しく監督することとなるからです。

認知症になる前に親愛信託契約をして、自宅を信託財産として受託者に名義を変えておけば、たとえ本人が認知症になったとしても、信託目的に従い、受託者は自宅を売却し、受益者の介護費用や介護施設の入居費用に充てることが可能となるのです。

このように信託財産については、法定後見人の管理(法定後見の場合)や後見監督人の監督(任意後見の場合)が及ばないので柔軟な財産管理が可能となるのです。

一般社団法人親愛信託東京 代表理事 
髙橋志乃