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財産承継のご相談にて

先日、お客様との御面談のなかで、家族信託(民事信託)についてお話をする機会がございました。

このお客様とは、従前から遺言書の作成についてご相談を受けていましたが、
お互いのタイミングが合わず、少し時間が経過していました。

先日の御面談では、少しお時間の余裕がある中でお話が出来ましたので、
改めて遺言書の作成についてお話をさせて頂くとともに、
家族信託についてもひとつの選択肢としてご提案をさせて頂きました。

おおよそのご説明をさせて頂いたのちに、お客様から

遺言書、成年後見制度、民事信託契約の違いは何?

とご質問を受け、改めてこの違いを整理しないといけないと感じました。
(私自身の整理も含めて。)


■ 遺言書

自身の死亡後に、自身の財産を誰に引き継いでほしいか、生前に意思表示をする制度

財産承継の点では、死亡後でないと効力は生じないので、
生前に財産承継を実行するには、遺言書とは別に贈与契約が必要となる。


■ 成年後見制度

認知症、知的障害、精神障害などの理由で、
財産管理や身上保護などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があり、
このようなひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、
ご本人の意思を尊重した支援を行う制度

財産承継の点では、ご本人(成年被後見人)の利益保護が尊重されるため、
贈与といった法律行為が事実上不可能となる。


■ 民事信託契約

財産を所有している人が「委託者」となり、
信頼できる親族や一般社団法人などの「受託者」に、信託契約をもって名義のみを変更して、
管理・運営してもらえるしくみで、信託された財産から利益を受け取る権利は受益者にあります。

委託者が存命中は、「委託者」は同時に「受益者」となって、
従前通り財産に対する権利を持ち続けることができ、
この場合、名義は変わっても課税はありません。



民事信託契約は、遺言書・成年後見制度の双方のメリットを活かし、
デメリットを解決できる制度、そして死亡の前後において
ご本人の意思を最大限に尊重した財産承継が行える制度です。

お客様にわかりやすいご説明ができるよう、
自身の理解を深め、経験を重ねていきたいと改めて感じました。

令和7年5月9日
一般社団法人 京都民事信託協会
理事 藤原康裕