親愛信託®(家族信託・民事信託)Q&A
相続の場面で「できれば財産を渡したくない親族がいる」というケースは意外と多くあります。たとえば以下のような状況です。
離婚した元配偶者との間に子どもがいるが、何年も会っていない
子どもが浪費家で、財産を適切に管理できるか不安
長期間音信不通になっている家族がいる
こうした場合、何の対策もせずに亡くなると、法定相続に従って財産が分配され、意図しない人物に財産が渡ってしまう可能性があります。
財産を確実に渡したい相手へ引き継ぎ、渡したくない相手には相続させないようにするためには、「親愛信託」や「遺言書」を活用するのが有効です。
以下、具体的な事例をもとに考えてみましょう。
本人(夫)
妻
長男
次男(長年音信不通)
自宅
収益アパート
預貯金
音信不通の次男には財産を渡したくない
長男に財産を承継させたい
委託者:本人(夫)
受託者:長男
受益者:
第一受益者:本人
第二受益者:妻
第三受益者:長男
信託財産:自宅、収益アパート、金銭(預貯金など)
このように「受益者連続型信託」を組むことで、財産が次男に渡るルートを完全に排除できます。将来的にも、信託契約に定めた流れに沿って財産をスムーズに承継可能です。
信託に組み入れていない財産については、公正証書遺言を作成することで対策を行います。以下のような内容が有効です。
本人(夫):長男に全ての非信託財産を相続させる旨の遺言
妻:自身の財産を長男に相続させる旨の遺言
このようにすることで、次男と遺産分割協議をする必要がなくなり、長男がスムーズに相続できるようになります。
親愛信託は、受益者を複数段階にわたって指定できる点が大きな特徴です。これにより、「誰に、いつ、どのように財産を承継させるか」を自分の意思で明確にコントロールできます。
財産を渡したくない相手がいる場合、「何もしない」という選択が一番リスクが高いのです。法定相続では、どんな事情があっても一定の割合で相続権が発生してしまいます。
今回ご紹介したように、
親愛信託
公正証書遺言
を活用すれば、相続のトラブルを防ぎ、意図した相手に確実に財産を承継できます。
家族の状況や財産内容は千差万別です。より適切なアドバイスが必要な場合は、相続・信託に強い専門家への個別相談をおすすめします。
早めの対策が、あなたとご家族の未来を守ります。お困りの方は、お近くのよ・つ・ばグループまでご相談ください。
令和7年7月14日
一般社団法人よつば親愛信託大分
阿部豊志
・空き家を放置したくないあなたへ。相続人不在でもできる対処法
・親族間トラブルを防ぎながら、自分の財産を守る仕組みとは?
・信託できる財産・できない財産とは?あなたの資産は対象になる?
行政書士/宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/二種証券外務員/AFP/家族信託コーディネーター/マネーバランスドクター/SP融資コンサルタント
大分市出身。地元大学院修了後、北九州市の大手総合住宅設備企業にて事業部・子会社の生産管理システム等構築支援を行う。
早期退職に応募し、行政書士合格後、地元大分にて開業。
遺言・相続を中心とした終活支援、FPとして事業者向け財務コンサル・個人向けライフプラン、生命保険・損害保険の提案を行っている。
クライアントの将来を考えた総合的な支援を心がけている。
民事信託、遺言、相続、贈与、生命保険、ライフプラン、財務コンサル
大学時代に始めたテニス。ジュニアテニスのボランティアコーチも継続中。休日等にてケーブルテレビやネット配信にて映画や海外ドラマ鑑賞。