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親愛信託®(家族信託・民事信託)Q&A

財産を渡したくない親族がいる場合にどうしたらよいのか

【相続対策】財産を渡したくない親族がいる場合の具体的な対処法|家族信託と遺言書の活用

相続の場面で「できれば財産を渡したくない親族がいる」というケースは意外と多くあります。たとえば以下のような状況です。

  • 離婚した元配偶者との間に子どもがいるが、何年も会っていない

  • 子どもが浪費家で、財産を適切に管理できるか不安

  • 長期間音信不通になっている家族がいる

こうした場合、何の対策もせずに亡くなると、法定相続に従って財産が分配され、意図しない人物に財産が渡ってしまう可能性があります。

財産を渡したくない親族がいる場合の相続対策

財産を確実に渡したい相手へ引き継ぎ、渡したくない相手には相続させないようにするためには、「親愛信託」や「遺言書」を活用するのが有効です。

以下、具体的な事例をもとに考えてみましょう。


【事例紹介】

■家族構成

  • 本人(夫)

  • 長男

  • 次男(長年音信不通)

■財産内容

  • 自宅

  • 収益アパート

  • 預貯金

■目的

  • 音信不通の次男には財産を渡したくない

  • 長男に財産を承継させたい


対策1:家族信託契約書の作成(受益者連続型信託)

●家族信託の設計

  • 委託者:本人(夫)

  • 受託者:長男

  • 受益者

    • 第一受益者:本人

    • 第二受益者:妻

    • 第三受益者:長男

  • 信託財産:自宅、収益アパート、金銭(預貯金など)

このように「受益者連続型信託」を組むことで、財産が次男に渡るルートを完全に排除できます。将来的にも、信託契約に定めた流れに沿って財産をスムーズに承継可能です。


対策2:公正証書遺言の作成

信託に組み入れていない財産については、公正証書遺言を作成することで対策を行います。以下のような内容が有効です。

  • 本人(夫):長男に全ての非信託財産を相続させる旨の遺言

  • 妻:自身の財産を長男に相続させる旨の遺言

このようにすることで、次男と遺産分割協議をする必要がなくなり、長男がスムーズに相続できるようになります。


親愛信託を使えば財産の数次承継が自由に設定可能

親愛信託は、受益者を複数段階にわたって指定できる点が大きな特徴です。これにより、「誰に、いつ、どのように財産を承継させるか」を自分の意思で明確にコントロールできます。


まとめ|意図しない相続を防ぐには早めの対策を

財産を渡したくない相手がいる場合、「何もしない」という選択が一番リスクが高いのです。法定相続では、どんな事情があっても一定の割合で相続権が発生してしまいます。

今回ご紹介したように、

  • 親愛信託

  • 公正証書遺言

を活用すれば、相続のトラブルを防ぎ、意図した相手に確実に財産を承継できます。


不明点や個別のご相談について

家族の状況や財産内容は千差万別です。より適切なアドバイスが必要な場合は、相続・信託に強い専門家への個別相談をおすすめします。

早めの対策が、あなたとご家族の未来を守ります。お困りの方は、お近くのよ・つ・ばグループまでご相談ください。

令和7年7月14日
一般社団法人よつば親愛信託大分
阿部豊志


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    • 執筆者プロフィール


      阿部 豊志


      ■ 保有資格

      • 行政書士/宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/二種証券外務員/AFP/家族信託コーディネーター/マネーバランスドクター/SP融資コンサルタント


      ■ 略歴

      大分市出身。地元大学院修了後、北九州市の大手総合住宅設備企業にて事業部・子会社の生産管理システム等構築支援を行う。
      早期退職に応募し、行政書士合格後、地元大分にて開業。
      遺言・相続を中心とした終活支援、FPとして事業者向け財務コンサル・個人向けライフプラン、生命保険・損害保険の提案を行っている。
      クライアントの将来を考えた総合的な支援を心がけている。


      ■ 得意分野

      民事信託、遺言、相続、贈与、生命保険、ライフプラン、財務コンサル


      ■ 趣味

      大学時代に始めたテニス。ジュニアテニスのボランティアコーチも継続中。休日等にてケーブルテレビやネット配信にて映画や海外ドラマ鑑賞。