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子のいない夫婦がペアローンにより不動産を共有名義で所有している場合、配偶者が死亡すると、一般的には金融機関で加入した団体信用生命保険により当該配偶者の住宅ローン残額が弁済され、その結果、当該配偶者の不動産持分は無担保の財産として相続対象となります。
一見すると負担は軽減されたように見えますが、実務上はここからが本当の問題の始まりです。
遺言がない場合、法定相続人は生存配偶者と死亡配偶者の親となり、親が既に死亡している場合には兄弟姉妹が相続人となります。
その結果、生存配偶者と第三者との不動産共有関係が生じ、管理・売却・担保設定など、あらゆる意思決定が単独ではできなくなるリスクがあります。
さらに、相続人である親が認知症等により成年後見制度を利用している場合には、遺産分割協議や不動産の処分に家庭裁判所の関与が不可欠となり、事実上「動かせない不動産」と化すことも少なくありません。

このような「共有」「判断能力低下」「裁判所関与」という三重のリスクを同時に回避できる制度が親愛信託です。
親愛信託を活用すれば、不動産の名義・管理権限・処分権限をあらかじめ信託契約で設計することができ、相続発生後であっても、生存配偶者が受託者として単独で不動産を管理・売却・賃貸する体制を維持できます。
特に、夫婦それぞれの持分を相互に信託する形を採れば、一方が死亡した場合でも、不動産が相続財産として分断されることなく、信託財産として一体的に管理・運用されるため、相続人の構成に左右されない安定した資産管理が可能となります。
これは、遺言では実現できず、親愛信託でしか対応できない決定的なポイントです。
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もっとも、親が相続人となる場合には遺留分侵害額請求の問題が残ります。
この点についても、親愛信託によって不動産の承継・管理を確保したうえで、生命保険により遺留分対応のための流動資金を準備しておくことで、不動産の売却を伴わない解決が可能となります。

生命保険金は受取人固有の財産として、遺産分割協議を経ずに迅速に受領できる点で、信託と極めて相性の良い手法です。
このように、
親愛信託により「不動産を動かせる状態」で固定すること
遺言は最終的な帰属確認として補完的に活用すること
生命保険で遺留分対応資金を確保すること
を組み合わせることで、相続開始後に起こりがちな紛争や手続停滞を根本から回避することができます。
不動産は「誰が相続するか」以上に、「誰が管理し、誰が決断できるか」が重要な財産です。
その意思決定権を生前に設計できる親愛信託こそが、子のいない夫婦にとって最も実効性の高い不動産承継対策といえるでしょう。
これからの暮らしを安心して過ごすために、信頼できる相談先を知っておくことが第一歩です。
地域の窓口は、全国のよつばグループ一覧からご確認いただけます。

令和8年2月20日
一般社団法人よ・つ・ば民事信託北海道
代表理事 市下順紀
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株式会社管理不動産 代表
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士/貸金業務取扱主任者/簿記1級/募集人資格(生保、損保、少短)
ノンバンク、賃貸不動産会社、建設会社で勤務後、平成19年株式会社管理不動産設立。不動産を通じて資産運用や、相談業務に従事。高齢者所有不動産や空き家対策を信託を通じて提案、支援しております。
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所在地:札幌市北区麻生町2丁目2番18号
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