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令和5年(2023年)における、公正証書による家族信託(民事信託)の作成件数は約4,400件と、年々契約件数も増加している状況ですが、信託財産のなかに収益不動産や有価証券などの金融資産が含まれる場合には、信託計算書を作成する必要があることをご存じでしょうか?
今回はこの信託計算書について簡単に整理したいと思います。
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「信託計算書」は、信託財産に関する収益・費用・残高をまとめた計算書類です。信託財産は委託者の財産とは独立したものとみなされるため、信託契約ごとに作成します。
主な目的は以下のとおりです。
信託財産の運用状況を受益者や委託者に報告するため
税務上の所得区分(信託所得の帰属先)を明確にするため
確定申告書に添付する資料を作成するため
信託計算書には、「信託財産目録」「信託収益計算書(損益計算書)」といった書類があり、資産状況と運用状況を報告するものとなっています。
現金預金、不動産(所在地・登記簿情報・評価額)、株式・債券等の有価証券、その他の信託資産(貸付金、事業用資産など)を記載します。
収入・支出を整理して、差引利益または損失の計算を行います。
収入の部:賃料収入、利息収入、配当金収入等
支出の部:固定資産税、修繕費・管理費、信託報酬(受託者への支払いがある場合)等
差引き損益=信託利益(または損失)
信託計算書は、受託者が通常年に一度作成し、委託者・受益者に報告を行います。
信託契約書に報告についての定めがある場合には、契約に基づく報告を行う義務があります。
また、上記とは別に税務署に対して信託計算書を提出しなければなりません。
運用収益が年3万円以下といった少額の場合は提出不要となることもありますが、多くの場合は税務署への提出も必要になるのではないでしょうか。
税務署への提出は、暦年単位で計算し、翌年1月末までに行う必要があります。
(※信託契約締結時、契約内容変更時、信託契約終了時にも税務署への報告が必要となることがあります。)
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信託計算書は、委託者・受益者に報告する目的、また確定申告資料として税務署に報告する目的で、通常年に一度作成されます。
年に一度の作成ですが、溜めてしまうと年明けにバタバタしてしまいますので、日々の取引内容を整理しながら、コツコツと進めたいものですね。
お困りごとは、ぜひお近くのよ・つ・ばグループにご相談ください。
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令和7年10月24日
一般社団法人 京都民事信託協会
理事 藤原康裕
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・ご存知ですか?信託は相続だけでなく、離婚後の生活設計にも役立つ制度です
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税理士/宅地建物取引士
京都むらさきの総合税理士法人
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