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民法では本人が亡くなれば相続が自動的に開始しますが、信託法では受益者が死亡したとしても信託財産は相続にはならず、また信託の終了事由に該当した時にしか信託は終わりません。
そもそも民法と信託法とは全く違う法律です。
死亡した人(被相続人)の財産を他の人(相続人)に包括的に承継するものです。承継する財産のことを「相続財産」と言います。
受益者の承継すべき財産を「受益権」といい、これは「相続財産」に含まれず(ただし、みなし相続財産として相続税の対象にはなります。←ここがややこしいですね。)、相続ではなく別のルート=信託行為で定めた方法に従って、承継されていきます。
たとえば、相続と違い、二次受益者は内縁の妻を指定、三次受益者はお孫さんを指定、四次受益者はお世話になった高齢者施設を指定など、自由に「受益権」の行く末を決めることができるのです。
では、遺言と親愛信託契約で同じ財産に対して異なる受取先を指定した場合、どちらが優先されると思いますか?
優先されるのは、遺言ではなく、すでに効力が発生している親愛信託契約になります。
信託契約を結んで効力が発生した時点で、その財産の名義は受託者へと移っているからです。
遺言はあくまで自分が所有している財産を、自分が亡くなった後に誰に・どのように・渡すかを定めるものです。
信託契約を結び財産を受託者に信託した時点で、法的にはその財産は自分の所有財産ではなくなるので、遺言はその財産については効力を持たないことになります。
一般社団法人親愛信託東京 代表理事
髙橋志乃