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~信託法条文~ 第99条/第100条 よ・つ・ば的解説付

第二款 受益権の放棄

第99条 重要度3

受益者は、受託者に対し、受益権を放棄する旨の意思表示をすることができる。ただし、受益者が信託行為の当事者である場合は、この限りでない。

受益権は所有権とは異なり「放棄」が可能であるとしている。「受益者が信託行為の当事者」というのは、委託者が当初受益者を兼ねているケースが想定され、その場合には放棄は認められない。

 受益者は、前項の規定による意思表示をしたときは、当初から受益権を有していなかったものとみなす。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 放棄が認められるのは、信託行為の当事者ではない受益者であるから、信託行為で指定された二次受益者や、受益者指定権者によって指定された受益者を指すと考えられ、放棄により当初から受益者にはならないとされている。「第三者の権利を害する」とは、受益権が既に差押えの対象となっているケースなどが想定される。

第三款 受益債権

【受益債権に係る受託者の責任 重要度3

第100条 受益債権に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。

受益債権とは信託財産から発生する受益者の財産的権利であるから、信託財産のみから履行されるのは当然であり、受託者が個人の財産で履行する義務を負うことはなく、21条第2項に対応している。