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第六節 受託者が二人以上ある信託の特例
【信託財産の合有】 重要度3
第79条 受託者が2人以上ある信託においては、信託財産は、その合有とする。
受託者複数の信託の場合、受託者個々に「持分」はなく、「合有」であることを示しており、ここでも受託者が民法上の所有権者とは異なる地位であることが証明されている。
【信託事務の処理の方法】 重要度3
第80条 受託者が2人以上ある信託においては、信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決する。
受託者複数の場合は、会社の業務執行のように、基本的には過半数決議としている。
2 前項の規定にかかわらず、保存行為については、各受託者が単独で決することができる。
保存行為については決議を免除している。
3 前二項の規定により信託事務の処理について決定がされた場合には、各受託者は、当該決定に基づいて信託事務を執行することができる。
意思決定と実際の信託事務の執行を区別している。
4 前三項の規定にかかわらず、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合には、各受託者は、その定めに従い、信託事務の処理について決し、これを執行する。
親愛信託で複数受託者を採用する際には、本項による定めを作っておく必要があると思われる。
5 前二項の規定による信託事務の処理についての決定に基づく信託財産のためにする行為については、各受託者は、他の受託者を代理する権限を有する。
6 前各項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
ここでも別段の定めを優先しているので、親愛信託で複数受託者を採用する際には注意しなければならない。
7 受託者が2人以上ある信託においては、第三者の意思表示は、その1人に対してすれば足りる。ただし、受益者の意思表示については、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者複数の場合の外部の第三者との関係を定めており、内部の存在である受益者と区別している。