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~信託法条文~ 第57条/第58条 よ・つ・ば的解説付

(受託者の辞任) 重要度5

第57条 受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

受託者は別段の定めがない限り、委託者及び受益者の同意がなければ辞任できないとされており、親愛信託においては委託者の関与が困難な場合が少なくないので、別段の定めを置くべき事項となる。

 受託者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

例外的に裁判所の許可を辞任の要件としている。

 受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。

 疎明であるから、証明とは違って必ずしも厳格な理由は必要ない。

 第2項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

 第2項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

 裁判手続き上の規定である。

 委託者が現に存しない場合には、第1項本文の規定は、適用しない。

 「現に存しない場合」とは、委託者の地位が消滅した後などを指しており、「第1項本文を適用しない」の解釈について、受益者のみの同意で良いのか、受益者の同意も不要なのかは明らかではないので、やはり別段の定めを置くべきところであろう。

(受託者の解任) 重要度5

第58条 委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、受託者を解任することができる。

委託者と受益者が合意すれば、いつでも受託者は解任できるということなので、この条項が適用されるなら、成年後見人が委託者と受益者に代わって受託者を解任することが可能という解釈も可能となるなど、受託者の地位が不安定になってしまうので、注意が必要である。

ただし、財産的地位である受益者はともかくとして、財産とは無関係である委託者の地位を成年後見人が代理できるか否かについては議論の必要がある。

 委託者及び受益者が受託者に不利な時期に受託者を解任したときは、委託者及び受益者は、受託者の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

 これは商事信託の受託者を想定している条項であると思われる。

 前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

解任権の濫用を回避するためにも、別段の定めは必須であろう。

 受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、委託者又は受益者の申立てにより、受託者を解任することができる。

 裁判所は、前項の規定により受託者を解任する場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。

 第4項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。

 第4項の規定による解任の裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。

 裁判による解任の規定であり、親愛信託には馴染まない。

 委託者が現に存しない場合には、第1項及び第2項の規定は、適用しない。

前条第6項と同様である。