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~信託法条文~ 第51条/第52条 よ・つ・ば的解説付

(費用等の償還等と同時履行) 重要度2                     

第51条 受託者は、第49条第1項の規定により受託者が有する権利が消滅するまでは、受益者又は第182条第1項第2号に規定する帰属権利者に対する信託財産に係る給付をすべき債務の履行を拒むことができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

償還や前払いの場合の規定で、同時履行を求めているが、やはり対立関係が前提の商事信託のための規定であると思われる。

(信託財産が費用等の償還等に不足している場合の措置) 重要度3         

第52条 受託者は、第48条第1項又は第2項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産(第49条第2項の規定により処分することができないものを除く。第1号及び第4項において同じ。)が不足している場合において、委託者及び受益者に対し次に掲げる事項を通知し、第2号の相当の期間を経過しても委託者又は受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けなかったときは、信託を終了させることができる。

 信託財産が不足しているため費用等の償還又は費用の前払を受けることができない旨

 受託者の定める相当の期間内に委託者又は受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けないときは、信託を終了させる旨

受託者の固有財産を守るための規定であり、信託法では珍しく、一方当事者による信託終了を認めているので、親愛信託においても利用の場面があるのかも知れない。

なお、この終了事由は第163条第4項に引用されており、引用されていない第91条とは異なる取り扱いとなっている。

 委託者が現に存しない場合における前項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「受益者」とする。

 常識的な条項であるが、委託者不存在の信託が有り得るということを条文上で示している規定でもある。

 受益者が現に存しない場合における第1項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「委託者」とする。

 受益者が存しない信託は親愛信託の前提にはないが、ここでは委託者に責任を負わせているので、注意が必要である。

 第48条第1項又は第2項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産が不足している場合において、委託者及び受益者が現に存しないときは、受託者は、信託を終了させることができる。

 これも受託者による信託終了を可能とする規定である。