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(公平義務) 重要度3
第33条 受益者が2人以上ある信託においては、受託者は、受益者のために公平にその職務を行わなければならない。
当然のことを示している条文であるが、親愛信託においては、受託者が受益権の一部を取得して受益者を兼ねる場合なども想定されていると考えるべきであろう。
(分別管理義務) 重要度4
第34条 受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。ただし、分別して管理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者が信託財産と自らの固有財産とを分別管理すべきことは当然であるが、ここでも「別段の定め」が可能であるとされており、親愛信託においては、ケースに応じて柔軟な規定を置くことも考えられる。
一 第14条の信託の登記又は登録をすることができる財産(第3号に掲げるものを除く。) 当該信託の登記又は登録
不動産や特許権などの登記や登録が可能な財産に関しては、登記や登録が受託者の義務となり、この義務は本条第2項の規定により、「別段の定め」で免除できないとされている。
二 第14条の信託の登記又は登録をすることができない財産(次号に掲げるものを除く。) 次のイ又はロに掲げる財産の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 動産(金銭を除く。) 信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを外形上区別することができる状態で保管する方法
ロ 金銭その他のイに掲げる財産以外の財産 その計算を明らかにする方法
登記や登録の制度を持たない動産や金銭に関しては、事実上で分別管理ができていれば可としており、必ずしも信託口口座の開設などの特別な取り扱いを求めてはいない。
三 法務省令で定める財産 当該財産を適切に分別して管理する方法として法務省令で定めるもの
特定の社債などを指している。
2 前項ただし書の規定にかかわらず、同項第1号に掲げる財産について第14条の信託の登記又は登録をする義務は、これを免除することができない。
登記や登録に関しては「別段の定め」で免除できないとしているので、逆に読むと親愛信託において受託者の義務として登記や登録を記載しておく必要はないということになる。