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~信託法条文~ 第155条/第156条 よ・つ・ば的解説付

第三節 信託の分割

第一款 吸収信託分割

【関係当事者の合意等】 重要度2                        

第155条 吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

会社の吸収分割と同様に吸収信託分割の規定を示しており、信託併合と同様に関係者全員の合意で可能としているが、吸収信託分割は信託併合よりも受益者に与える影響が大きい場合が多いと思われるので、やや厳格な規定となっている。親愛信託においても適用される場面が全くないとは言えない。

 吸収信託分割後の信託行為の内容

 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由

 吸収信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額

 吸収信託分割がその効力を生ずる日

 移転する財産の内容

 吸収信託分割によりその信託財産の一部を他の信託に移転する信託(以下この款において「分割信託」という。)の信託財産責任負担債務でなくなり、分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託(以下「承継信託」という。)の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、吸収信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。

 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意

 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示

 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 委託者が現に存しない場合においては、第1項の規定は適用せず、第2項中「第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第2号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

信託併合と同様に、手続きの方法を示している。

【債権者の異議】 重要度1                           

第156条 吸収信託分割をする場合には、分割信託又は承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、吸収信託分割について異議を述べることができる。ただし、吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。

 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第2号の期間は、1箇月を下ることができない。

 吸収信託分割をする旨

 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。

 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

 電子公告

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収信託分割について承認をしたものとみなす。

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

これも信託併合と同様に債権者保護手続きを示しているが、親愛信託とは無関係と思われる。