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カップルの為の親愛信託

事実婚カップル

【事実婚と財産管理】入籍しないカップルが知っておくべき信託と相続対策

事実婚を選ぶ理由とは?

事実婚カップルは、入籍による環境の変化や手続きの煩雑さを避けたいという理由から、法律婚という形式にこだわらない、あるいは望まない方たちが多くいます。

また、子どもや親の反対、あるいは相続関係を複雑にしたくないという親族への配慮から、入籍に踏み切れないカップルもいます。
中には、子どもの姓の変更や親戚づきあいに抵抗があり、結婚という形式を選ばないというケースもあります。さらには、法律婚ができない事情を抱えたカップルもいます。

このように、事実婚を選ぶ背景には、さまざまな個人的・社会的理由があるのです。


事実婚カップル Aさん(30歳)とBさん(38歳)のケース

Aさんは自営業、Bさんは不動産業で独立している自立したカップル。
2人はBさんの店で出会い、価値観や人生観が合致したことでパートナー的関係を築いていきました。

お互いに求める関係性は?

  • 法律婚を望まない

  • 子どもは今のところ望んでいない

  • 経済的にも精神的にも自立した関係

  • 自分の世界を壊さずに一緒にいたい

将来、気が変わって結婚や子育てを選ぶ可能性はゼロではありませんが、現時点では**「結婚という制度に縛られたくない」**という明確な意思を持っています。


事実婚における財産管理の課題

法律婚をしていない場合、相続や財産の取り扱いにおいてトラブルが起こる可能性があります。特に不動産を共有する場合や、片方に万が一のことがあった際には注意が必要です。

法律上の夫婦でない場合、法律の定める相続制度では2人の希望が叶わないことが多いため、事実婚カップルはより綿密な財産対策が求められます。


事実婚カップルに必要な3つの対策

以下は、法律婚をしていないカップルが取り入れるべき財産保全の方法です。

① 信託口口座の活用

生活資金と貯金を目的にした2つの信託口口座を開設します。

  • 信託口座①:生活資金用

  • 信託口座②:将来の貯蓄・資産形成用

受託者は管理しやすい方が担当し、定期的に話し合いながら信託金を追加していく形にします。

※ 金額によっては贈与税が発生する可能性があるため、税務面にも注意が必要です。

この方法なら、お互いの経済的自立を保ちつつも生活費を共同で管理でき、将来的な安心にもつながります。

② 遺言書の作成

信託口座以外の各自名義の通帳や財産は、そのままでは法定相続人に相続されます。
そのため、パートナーに財産を遺したい場合は、遺言書の作成が不可欠です。

③ 不動産の名義と親愛信託の活用

不動産を共有する場合は、**親愛信託(任意の信託契約)**を利用することで、パートナーに資産をスムーズに引き継がせることができます。

法人設立による受託管理の例

財産が多い場合は、2人で法人を設立し、その法人に不動産の名義を移します。

  • 受益権をAさん・Bさんが持つ

  • 自分の死後、パートナーが次の受益者に

  • 両者が他界後は、指定の親族に売却益を分配

子どもができた場合は、受益者を子どもに変更すれば、相続対策としても柔軟に対応できます。


血のつながりにこだわらない、新しい財産の承継スタイルへ

これからの時代は、血縁にとらわれず「自分が選んだ人」に財産を託す時代へと移行していくかもしれません。

親子・兄弟姉妹といった従来の相続関係ではなく、パートナーや大切な人に財産を残したいという考え方が増えていく中で、親愛信託の活用は非常に有効な手段となります。


まとめ

事実婚を選ぶカップルにとって、信託口口座や親愛信託、遺言書作成は非常に重要な手段です。
入籍していないからこそ、法的な整備と合意をしっかりと行い、お互いの生活と未来を守る仕組みを作ることが大切です。

令和7年7月7日
協同組合親愛トラスト
代表理事 松尾陽子