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先日、ある方から相続対策をご相談いただき、受益者連続型の信託が適していると考えましたので、そのようなご提案をさせていただき、いくつかの契約にわけて信託組成を実行しました。
預貯金については金銭信託、会社を経営されているご家庭でしたので自社株式については株式信託、そして複数個所にわたり保有されている不動産については将来的に不動産ごとにそれぞれ別の第二次受益者を選択できる余地を残しておくため、不動産ごとに契約を別にして組成しました。
ここまではよかったのですが、今回の委託者様は証券会社を通じて上場株式を保有されていたため、お客様(委託者様)が信託組成を希望されている旨の相談を証券会社に打診したところ、証券会社側として信託組成を認めるいくつかの要件リストが送られてきました。
その要件の1つに「当初の委託者兼受益者の死亡により信託が終了する旨の定めがあること」というものがありました。つまり受益者連続型信託は認めない、ということです。
相続対策ツールとして信託はとても可能性をもっている制度だと思いますが、受益者連続型の手法を否定されると、その可能性は大幅に狭くなります。リスク回避したいという証券会社の立場もわからなくないですが、一方で、お客様が置き去りになってしまっているという感がどうしても否めません。
信託という法制度の理解がもっと普及し、お客様の「思いを実現させる」ために微力ながら力を注いでいきたいと感じた一件でした。
名古屋 会員 T