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【スタッフブログ】信託すると担保価値が下がる?!→下がりません

不動産を子供に信託したい、というご相談を受けることがよくあります。

持ち家でも賃貸物件でも銀行さんや保証会社さんのローンによる抵当権(根抵当権の場合もあります。まとめて「担保物権」と言います)がついていることが多いのですが、この場合は親愛信託をする前に担保を付けている金融機関さんに親愛信託することの了解を得る必要があります。

最近は、親愛信託(家族信託)が普及してきているので、行員さんも、よ・つ・ばグループやその他家族信託関係の団体が主催する講演会や信託関連セミナーに参加されたりして知識を蓄えていらっしゃる方も増えてきたように感じます。

ただ、少し支店(金融機関にも…)によって差がある感じもあります。お客様から「親愛信託をしたいのでそのための口座開設をしたいのだけど…」と相談を受けたり、また担保提供している不動産を家族に信託したいというご相談がある支店、そのようなお話がいままで全くない支店、対応にどうしても差が出てきてしまうのは無理もありません。

現行民法は施行100年以上(大規模な改正が間に挟まりましたが)。新信託法は10年少々。

民法は一般法で、信託法は特別法となると、どうしても民法より敷居が高いということになってしまいます。

だからか、信託(親愛信託・家族信託に限りません)について誤った概念、印象による根拠のない風説を見聞きすることもままあります。

少しずつでもそのような誤解を解いていきたいというのも私共の活動の一つです。

少し脱線しました。さて。本題に入ります。

担保提供している不動産を親愛信託する場合、金融機関さんより了解を得なければならない理由ですが、それは担保設定をする前提となる借入をするとき(ローン契約を締結するとき)、その契約書に「もしも借主であるあなたが担保として差し出す不動産を誰かに譲渡したり、処分したりした場合はペナルティがあるよ」という条項があるからです。

ペナルティというのは、一括返済とか違約金を払うとか金融機関さんによっても違いますが、銀行さんにとって借金のカタである不動産を勝手に処分されては、借金を払って貰う為の強制力(自分の不動産を担保権実行されて奪われるのが嫌だから、債務者は必死に弁済するだろうという強制力です。)が働かなくなってしまうため、銀行さんは非常に嫌がるのです。

もちろん、通常の処分を嫌がることは当然のことでしょうが、不思議なのは、信託による受託者への名義変更も嫌がる銀行さんが多いことです。

信託で名義変更するとは言っても、権利の中身は元の所有者が持ち続けるままなのです。

銀行さんが借金のカタとして置いておきたいのは、価値の高い「権利の中身」の方だと思いますので、信託をすることで何ら銀行さんが不利になることはありません。

普通の担保付不動産が信託不動産に変わったとしても担保権の実行も可能です。権利の中身は元の所有者のままですので、「借金を返さなきゃ!」という動機付けもそのまま続くこととなります。

ふとある金融機関の方が口にしたのは「信託すると登記が汚れる」。

その方がどのような価値観で「汚れる」とおっしゃったのか、理解できませんが、もしかしたら差し押さえや仮登記が入っている登記簿のことが念頭にあったのでしょうか。

信託の登記というのは、所有権が受託者に帰属しつつもその権利は受益者に属していることを示すにはとてもわかりやすい記載方法だと考えますが、そのように所有権を、帰属先(受託者)と権利の持ち主(受益者)にわけることがどうして「汚れる」と感じるのか。

これは単なる信託の認識不足?(勉強不足?)なだけではないのかと思ってしまいました。

銀行の行員さんはプロの法律家ではないので、財産法をあまねく知る必要もないのかもしれません。

とは言いながらも、取引先であるお客様に関心が広がっている分野についてはもう少し知識を広げていただければ、とてもよいサービス向上になるのに…と残念に思います。

信託をすることで、差押が入るわけでもありませんし、かつて所有者だった人の意思能力や行為能力の低下を補うべく管理権限を持った受託者がその不動産を管理するということで、担保価値は逆に上がるのではないでしょうか。

一般社団法人よ・つ・ば親愛信託ちば AM