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【スタッフブログ】こんなレアな事業承継もあるんですね

 地中海に面したスペインのバルセロナに、ヨーロッパ(最近あまり使いませんね)で評判の日本豆腐店があるそうです。
元新聞記者の清水さん(73)が、定年後の2010年に開店した月商230万円の小さなお店です。

 体力の衰えを感じた(職人の仕事は体力がいります)清水さんが昨年、豆腐連合会を通じて後継者を募りました。
 それを知った仙台市の笹原さんは、即座に応募しました。
もともとヨーロッパ出店に関心があったのと、店舗・製造機械・顧客基盤がある「後継者」にと聞いて血が騒ぎました。

 20代に留学を考えていた笹原さんは、父が急死し取引先の要望でやむなく仙台市の豆腐屋の2代目を継いだ経緯があります。
独学で苦労して、一昨年の全国豆腐品評会で最優秀賞を受賞するほどの腕前になりました。

 いっぽう店を譲る清水さんの決め手となったのも「大豆の甘みが出て濃厚な味、高度な技術の持ち主」と腕前だったそうです。

 東日本大震災で仙台市が、全壊と判定した店舗兼住宅で営業してきた笹原さんが、創業52年の店の移転先に決めたのは、遠いヨーロッパのスペインのバルセロナでした。
 
 1月から経営を引き継いだ店の、客の4割は日本人で6割はスペイン人です。
笹原さんは、清水さんの味を継承しつつ「風味を重視した僕の味も提供したい」と2種類の豆腐を売るつもりだそうです。

【私見】

 この事例を親愛信託の組成で考えてみると、
(情報)
・清水さんは高齢で体力の衰えを感じていた。
・豆腐連合会を通じ、第3者承継者を募った。
・笹原さんは欧州に興味があり、出店先を探していた。
・建物や居抜きの製造機械付き店舗、継続顧客と条件が揃っていた。
・清水さんは笹原さんの技術、腕前を気に入った。
・清水さんの家族や従業員についてはヒアリングを行う。

(親愛信託スキーム)
・清水さんを委託者、笹原さんを受託者とした契約信託を締結する。
・受益者を清水さんとして、経営権を笹原さんに渡す。
・清水さんに指図権を設定し、豆腐店の味や既存客を落とさない
ように笹原さんの成長を見守る。

 こんな信託設計になりますかね。
「遠くスペインの地に豆腐店という、ESG経営と日本の文化を伝えるというロマンあるお手伝いを、親愛信託を通してしたいものだなあ」と所長は思いを馳せました。
 所長は自宅で採れたゆずを、母の友人の嫁さんが作った「柚子のピール(砂糖をまぶした大人のおやつ)」のお返しを口に運びながら、お気に入りのインスタントコーヒーをすするのでした。

(引用:朝日新聞2021.01.06)

一般社団法人親愛信託東京 代表理事 伊橋