信託の税務
最近、まわりで「離婚した」という話をよく耳にするような気がします。
実際に調べてみると、人口1000人あたりの離婚率は2024年で1.47件となっており、2002年の2.3件をピークに減少傾向にはあるようです。
しかしながら、離婚した年齢でもっとも多いのは男性では35~39歳のようです。これは、子育てや仕事などライフステージの変化が重なる時期でもあり、そのような話を聞くことが多いのも、あながち気のせいではないのかもしれません。
離婚した夫婦に子どもがいる場合、養育費の支払いについて取り決めを行うことになります。
しかしながら、取り決めた養育費の支払いが子どもが成人するまで継続されるケースは多くはないようです。
支払いが滞った場合には、財産の差し押さえなど法的手段が取れる場合もありますが、実際には手間や費用の問題から断念するケースも見られます。
実は養育費の受け取りは一括して受け取ることも可能です。
ただし、税務上はこの一括受取によって贈与税が課税されるリスクがあるため注意が必要です。
しかし、毎月の受取額を定めた信託契約を活用することで、贈与税を回避することが可能とされています。
このような方法では、信託を通じて支払いを分配する仕組みとなり、税務上も認められている形式です。
とはいえ、養育費の一括受取にはいくつかの条件が必要です。
支払う側に十分な資産があること
当事者双方の合意があること
これらの条件を満たすのは簡単ではないため、実際の実行には高いハードルがあります。
それでも、このような場面で「信託」が活用できるというのは、多くの方にとって驚きかもしれません。
離婚はできれば避けたいものですが、現実には避けられないこともあります。
「信託を活用した養育費の受け取り方法」など、知っていることで不安を軽減できる制度や手段もあります。
夫婦が仲良く過ごせるのが一番ではありますが、万が一の時に備えた知識として覚えておいて損はありませんね。
令和7年6月6日
一般社団法人京都民事信託協会
前田 哲志
保有資格:税理士
相続・不動産・経営相談を中心に、個人・法人を問わず幅広い分野でサポートを行っております。
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