~信託法条文~ 第159条/第160条 よ・つ・ば的解説付

第二款 新規信託分割

【関係当事者の合意等】 重要度2                        

第159条 新規信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

会社の新設分割と同様に新設信託分割の規定を示しており、やはり関係者全員の合意で可能としている。親愛信託においては、例えば各種の財産を一つの信託で組成してしまった後で一部の財産を別の信託に移したいというニーズが考えられ、吸収分割よりも適用される場面が多いのではないかと思われる。

 新規信託分割後の信託行為の内容

 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由

 新規信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額

 新規信託分割がその効力を生ずる日

 移転する財産の内容

 新規信託分割により従前の信託の信託財産責任負担債務でなくなり、新たな信託の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、新規信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。

 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意

 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示

 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 委託者が現に存しない場合においては、第1項の規定は適用せず、第2項中「第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第2号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

吸収信託分割の規定とほぼパラレル。

【債権者の異議】 重要度1                           

第160条 新規信託分割をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、新規信託分割について異議を述べることができる。ただし、新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。

 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別に催告しなければならない。ただし、第2号の期間は、1箇月を下ることができない。

 新規信託分割をする旨

 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。

 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

 電子公告

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該新規信託分割について承認をしたものとみなす。

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

債権者の異議に関して、会社分割の規定と似た内容を示しているが、親愛信託においてはほぼ問題とならない条文。

~信託法条文~ 第157条/第158条 よ・つ・ば的解説付

吸収信託分割後の分割信託及び承継信託の信託財産責任負担債務の範囲等】 重要度2

第157条 吸収信託分割がされた場合において、第155条第1項第6号の債務は、吸収信託分割後の分割信託の信託財産責任負担債務でなくなり、吸収信託分割後の承継信託の信託財産責任負担債務となる。この場合において、分割信託の信託財産限定責任負担債務であった債務は、承継信託の信託財産限定責任負担債務となる。

会社分割と同じく、当然の事を示している条文である。

第158条 重要度1                               

第156条第1項の規定により異議を述べることができる債権者(同条第2項の規定により各別の催告をしなければならないものに限る。)は、同条第2項の催告を受けなかった場合には、吸収信託分割前から有する次の各号に掲げる債権に基づき、受託者に対し、当該各号に定める財産をもって当該債権に係る債務を履行することを請求することもできる。ただし、第1号に定める財産に対しては吸収信託分割がその効力を生ずる日における承継信託の移転を受ける財産の価額を、第2号に定める財産に対しては当該日における分割信託の信託財産の価額を限度とする。

 分割信託の信託財産責任負担債務に係る債権(第155条第1項第6号の債務に係る債権を除く。) 吸収信託分割後の承継信託の信託財産に属する財産

 承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権(第155条第1項第6号の債務に係る債権に限る。) 吸収信託分割後の分割信託の信託財産に属する財産

債権者の異議に関して、会社分割の規定と似た内容を示しているが、親愛信託においては問題となる条文ではない。

~信託法条文~ 第155条/第156条 よ・つ・ば的解説付

第三節 信託の分割

第一款 吸収信託分割

【関係当事者の合意等】 重要度2                        

第155条 吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

会社の吸収分割と同様に吸収信託分割の規定を示しており、信託併合と同様に関係者全員の合意で可能としているが、吸収信託分割は信託併合よりも受益者に与える影響が大きい場合が多いと思われるので、やや厳格な規定となっている。親愛信託においても適用される場面が全くないとは言えない。

 吸収信託分割後の信託行為の内容

 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由

 吸収信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額

 吸収信託分割がその効力を生ずる日

 移転する財産の内容

 吸収信託分割によりその信託財産の一部を他の信託に移転する信託(以下この款において「分割信託」という。)の信託財産責任負担債務でなくなり、分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託(以下「承継信託」という。)の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、吸収信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。

 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意

 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示

 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 委託者が現に存しない場合においては、第1項の規定は適用せず、第2項中「第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第2号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

信託併合と同様に、手続きの方法を示している。

【債権者の異議】 重要度1                           

第156条 吸収信託分割をする場合には、分割信託又は承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、吸収信託分割について異議を述べることができる。ただし、吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。

 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第2号の期間は、1箇月を下ることができない。

 吸収信託分割をする旨

 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。

 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

 電子公告

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収信託分割について承認をしたものとみなす。

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

これも信託併合と同様に債権者保護手続きを示しているが、親愛信託とは無関係と思われる。

【スタッフブログ】人生100年、アフターコロナ時代の住まい、資金計画は親子で考えよう「相続・空き家・親愛信託」で支援!

アフターコロナ・ウィズコロナ時代は、これまでの考え方が大きく変化して常識が常識でなくなり、家族の絆も再注目されている。また〝人生100年時代〞においては、自分も親も元気なうちに、早めのアクションでやるべきことや課題に取り組み、長い人生を楽しみたいもの。
 このような時代には、まず不動産の〝入口・出口〞を明確にし、将来を見据えた住まいづくりが重要だ。〝空き家予備軍〞の実家や空き土地対策。介護や相続問題。〝超認知症時代〞に備えた親愛信託(民事信託・家族信託)。生前贈与など住宅資金援助を含めた〝親子で考える資金計画〞。そこまであなたは考えているだろうか。 単純に夢を描いて安易な核家族住宅や〝親不孝住宅〞を建てるべきではない。「家を建てたいと思った時、親も子も、人生設計や人生を見直す絶好のチャンス。必ず家族会議をして欲しい。その家族にあったやり方や解決法がある。今までの常識にとらわれず、新たな発想で〝なぜ家を建てるのか〞考えてほしい」と語る。 住宅販売・リフォーム提案から不動産売買、終活に関する相談まで、幅広く展開してきた経験と資格を生かし、トータル提案、ワンストップサービスで応え、総合的な視点で「くらしをデザイン」した家づくりや資産計画を応援している。 住まい・不動産、FP、相続などさまざまな相談が寄せられるなか、親愛信託(民事信託・家族信託)や、『安心空き家信託事業』に注目が集まっている。
今後は『ペット信託』や『おひとりさま信託』にも力を入れていく予定。また空き家、空き土地をAIで診断する「不動産売却査定」「空き土地診断」のレポートを無料作成してくれるサービスも人気があり引き続きつづけていき、専門家の立場からアドバイスしていく。相談は1時間無料(来店要予約)。家を建てようと思った時や資金計画に悩んだ時、気軽に相談したい。どう考え、どこから手を付ければいいか分からないという方は、県内各地で開催する勉強会や個別相談会ぜい参加していただきたい。
              一般社団法人よつば民事信託とやま 理事 前田 敏

~信託法条文~ 第153条/第154条 よ・つ・ば的解説付

【信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等】 重要度2         

第153条 信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。

会社の合併と同じく、当然の事を示している条文である。

第154条 重要度2

信託の併合がされた場合において、前条に規定する従前の信託の信託財産責任負担債務のうち信託財産限定責任負担債務(受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務をいう。以下この章において同じ。)であるものは、信託の併合後の信託の信託財産限定責任負担債務となる。

前条に同じ

~信託法条文~ 第151条/第152条 よ・つ・ば的解説付

第二節 信託の併合

【関係当事者の合意等】 重要度3                        

第151条 信託の併合は、従前の各信託の委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

 信託の併合後の信託行為の内容

 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由

 信託の併合に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額

関係者全員の合意があれば、信託の併合は会社の合併のように自由にできるとされており、基本的には商事信託のための条文であるが、親愛信託においてもニーズが全くないというものではないと思われる。

 信託の併合がその効力を生ずる日

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、信託の併合は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。

 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意

 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示

 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 委託者が現に存しない場合においては、第1項の規定は適用せず、第2項中「第1号に掲げるときは委託者に対し、第2号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第2号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

信託併合の手続きを示しているが、別段の定めを許しているので、親愛信託においては簡易な信託併合を行うことも可能である。

債権者の異議】 重要度1                           

第152条 信託の併合をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、信託の併合について異議を述べることができる。ただし、信託の併合をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。

 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第2号の期間は、1箇月を下ることができない。

 信託の併合をする旨

 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

 その他法務省令で定める事項

 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。

 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

 電子公告(公告の方法のうち、電磁的方法(会社法(平成17年法律第86号)第2条第34号に規定する電磁的方法をいう。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって同号に規定するものをとる方法をいう。次節において同じ。)

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該信託の併合について承認をしたものとみなす。

 第1項の債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。次節において同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該信託の併合をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

債権者の異議に関して、株式会社の合併の規定と似た内容を示しているが、親愛信託においては問題となる条文ではない。