~信託法条文~ 第129条/第130条 よ・つ・ば的解説付

【新信託管理人の選任等】 重要度1                       

第129条 第62条の規定は、前条第1項において準用する第56条第1項各号の規定により信託管理人の任務が終了した場合における新たな信託管理人(次項において「新信託管理人」という。)の選任について準用する。

 新信託管理人が就任した場合には、信託管理人であった者は、遅滞なく、新信託管理人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。

 前項の信託管理人であった者は、受益者が存するに至った後においてその受益者となった者を知ったときは、遅滞なく、当該受益者となった者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

【信託管理人による事務の処理の終了等】 重要度1                

第130条 信託管理人による事務の処理は、次に掲げる事由により終了する。ただし、第2号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 受益者が存するに至ったこと。

 委託者が信託管理人に対し事務の処理を終了する旨の意思表示をしたこと。

 信託行為において定めた事由

 前項の規定により信託管理人による事務の処理が終了した場合には、信託管理人であった者は、遅滞なく、受益者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。ただし、受益者が存するに至った後においてその受益者となった者を知った場合に限る。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

~信託法条文~ 第127条/第128条 よ・つ・ば的解説付

【信託管理人の費用等及び報酬】 重要度1                    

第127条 信託管理人は、その事務を処理するのに必要と認められる費用及び支出の日以後におけるその利息を受託者に請求することができる。

 信託管理人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める損害の額について、受託者にその賠償を請求することができる。

 信託管理人がその事務を処理するため自己に過失なく損害を受けた場合 当該損害の額

 信託管理人がその事務を処理するため第三者の故意又は過失によって損害を受けた場合(前号に掲げる場合を除く。) 当該第三者に対し賠償を請求することができる額

 信託管理人は、商法第512条の規定の適用がある場合のほか、信託行為に信託管理人が報酬を受ける旨の定めがある場合に限り、受託者に報酬を請求することができる。

 前三項の規定による請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。

 第3項の場合には、報酬の額は、信託行為に報酬の額又は算定方法に関する定めがあるときはその定めるところにより、その定めがないときは相当の額とする。

 裁判所は、第123条第4項の規定により信託管理人を選任した場合には、信託管理人の報酬を定めることができる。

 前項の規定による信託管理人の報酬の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第3項の定め及び第5項の報酬の額に関する定めがあったものとみなす。

 第6項の規定による信託管理人の報酬の裁判をする場合には、受託者及び信託管理人の陳述を聴かなければならない。

 第6項の規定による信託管理人の報酬の裁判に対しては、受託者及び信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

【信託管理人の任務の終了】重要度1                       

第128条 第56条の規定は、信託管理人の任務の終了について準用する。この場合において、同条第1項第5号中「次条」とあるのは「第128条第2項において準用する次条」と、同項第6号中「第58条」とあるのは「第128条第2項において準用する第58条」と読み替えるものとする。

 第57条の規定は信託管理人の辞任について、第58条の規定は信託管理人の解任について、それぞれ準用する。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

~信託法条文~ 第125条/第126条 よ・つ・ば的解説付

【信託管理人の権限】 重要度1                         

第125条 信託管理人は、受益者のために自己の名をもって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 2人以上の信託管理人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 この法律の規定により受益者に対してすべき通知は、信託管理人があるときは、信託管理人に対してしなければならない。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

【信託管理人の義務】 重要度1                         

第126条 信託管理人は、善良な管理者の注意をもって、前条第1項の権限を行使しなければならない。

 信託管理人は、受益者のために、誠実かつ公平に前条第1項の権限を行使しなければならない。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

~信託法条文~ 第123条/第124条 よ・つ・ば的解説付

第四節 信託管理人等

第一款 信託管理人

【信託管理人の選任】 重要度2                         

第123条 信託行為においては、受益者が現に存しない場合に信託管理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。

「受益者が現に存しない信託」は、親愛信託においては、契約の不備で受益者の指定を誤ってしまったケースくらいしか考えられず、また受託者に課税されることから、あってはならないケースであるが、その場合の措置として信託管理人を置くことができるとしている。

また、信託管理人関係の条文は、後で出てくる信託監督人や受益者代理人の条文に多く引用されている。

 信託行為に信託管理人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、信託管理人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。

 前項の規定による催告があった場合において、信託管理人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。

 受益者が現に存しない場合において、信託行為に信託管理人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託管理人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。

 前項の規定による信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第1項の定めが設けられたものとみなす。

 第4項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。

 第4項の規定による信託管理人の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受託者又は既に存する信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。

 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。

信託管理人を置くことになった場合の規定である。

【信託管理人の資格】重要度2                          

第124条 次に掲げる者は、信託管理人となることができない。

 未成年者

 当該信託の受託者である者

信託管理人を置くことになった場合の規定であるが、受託者が信託管理人を兼務できないとしている。なお、改正前は成年被後見人と被保佐人も欠格事由とされていた。

~信託法条文~ 第121条/第122条 よ・つ・ば的解説付

【受益者集会の決議の効力】 重要度1                      

第121条 受益者集会の決議は、当該信託のすべての受益者に対してその効力を有する。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【受益者集会の費用の負担】 重要度1                      

第122条 受益者集会に関する必要な費用を支出した者は、受託者に対し、その償還を請求することができる。

 前項の規定による請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

~信託法条文~ 第119条/第120条 よ・つ・ば的解説付

【延期又は続行の決議】 重要度1                        

第119条 受益者集会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第108条及び第109条の規定は、適用しない。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【議事録】重要度1                               

第120条 受益者集会の議事については、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

~信託法条文~ 第117条/第118 条 よ・つ・ば的解説付

【議決権の不統一行使】重要度1                         

第117条 受益者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、受益者集会の日の3日前までに、招集者に対しその旨及びその理由を通知しなければならない。

 招集者は、前項の受益者が他人のために受益権を有する者でないときは、当該受益者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【受託者の出席等】 重要度1                          

第118条 受託者(法人である受託者にあっては、その代表者又は代理人。次項において同じ。)は、受益者集会に出席し、又は書面により意見を述べることができる。

 受益者集会又は招集者は、必要があると認めるときは、受託者に対し、その出席を求めることができる。この場合において、受益者集会にあっては、これをする旨の決議を経なければならない。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

~信託法条文~ 第115条/第116 条 よ・つ・ば的解説付

【書面による議決権の行使】 重要度1                      

第115条 受益者集会に出席しない受益者は、書面によって議決権を行使することができる。

 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。

 前項の規定により書面によって行使した議決権は、出席した議決権者の行使した議決権とみなす。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【電磁的方法による議決権の行使】 重要度1                   

第116条 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該招集者に提供して行う。

 受益者が第109条第2項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。

 第1項の規定により電磁的方法によって行使した議決権は、出席した議決権者の行使した議決権とみなす。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【スタッフブログ】過去の土地活用、民事信託・・・

過去の土地活用、民事信託・・・「市街地再開発事業による施設建築物及びその敷地を民事信託により信託した場合の税務上の取扱いについて」(平成13年11月回答分)

新信託法は平成18年12月15日に公布されました。少し前の平成18年6月2日に「一般社団及び財団法人に関する法律」が公布され今年で14年目となりました。

「「信託法」と「一般社団及び財団法人に関する法律」が表舞台の条文だとすると不可分の法律が「相続税」、「所得税法」、「法人税法」、「消費税法」さらには租税特別措置法等の税法がその裏舞台に登場する。」と以前読んだ本にありました。

会社勤めの平成元年か2年頃「土地信託通達」(昭和61年)、を活用しようと信託銀行を受託者として土地所有者の土地活用でビルを建てるために土地信託をしたことがありました。

信託銀行にとっては、受託者としてテナント募集や空き室管理等は全く不得手で、賃貸管理などのスタッフがいないため、また、信託報酬はあるものの、賃貸トラブルを抱え込むことになることも危惧して、それ以降は積極的な取り組みは全くありませんでした。

H18に信託法が改正されてからは、法人地主は、出店や設備投資の資金獲得のために積極的に建物の賃料を原資とし商事信託を活用するようになりお手伝いしたことを思い出します。

仕事柄広い土地をまとめる必要があり、複数の地主様をまとめる何かいい方法がないもか思案していました。

それが信託法や中間法人法や民法の任意組合、商法に基づく匿名組合の活用だったように思います。

しかし、いつもそこまで行きつかず賃料のアップや敷金・保証金、建設協力金等の増額などで解決することが多かったのは正直な感想です。

添付した資料は、少し古いものですが、税務の考え方や土地活用の手法に参考になる資料と思いご案内します。見たときは、目からうろこでした。土地の有効活用という観点から、当初の段階で

方針決定された受託者借入を行うというものです。また、商事信託ではなく「民事信託」に該当する案件として計画されています。

多くの地権者をまとめたり、複数相続人(共有でも複数の単独所有者でも)で土地活用を計画する際の基本の構図が描かれています。

現在は、改正信託法、一般社団及び財団法人に関する法律が整備され取組みやすくなってきました。

親愛信託普及には、認知症になったらお困りになるでしょうという視点から、もう少し幅広く土地活用の観点からも普及していけるのではないかと思い専門家の方々にもその視点をお持ちいただければ幸いです。

このスキームを三井不動産が考案した当時は、改正信託法も一般社団及び一般財団法人法も資産流動化法も投資法人法もなく、110名以上の地権者の権利調整まとめから建築資金の調達、テナント募集等相当な苦労を重ねたものと思っています。

受託者を株式会社とし、受託者借入により再開発組合から建物を買い取る手法です。

コロナ禍でひょっとしたら大不況となることがあるかもしれません。

不動産特定共同法も改正を重ね様々な手法が検討されています。

親愛信託でさまざまな手法を整理して活用しさまざまなお客様のお役に立てることができればですね。長くなりました。最後までお読みいただきありがとうございます。

                                      感謝

一般社団法人 よ・つ・ば親愛信託普及連合 理事 黒永 秀司

~信託法条文~ 第113条/第114 条 よ・つ・ば的解説付

【受益者集会の決議】重要度1                          

第113条 受益者集会の決議は、議決権を行使することができる受益者の議決権の過半数を有する受益者が出席し、出席した当該受益者の議決権の過半数をもって行う。

 前項の規定にかかわらず、次に掲げる事項に係る受益者集会の決議は、当該受益者集会において議決権を行使することができる受益者の議決権の過半数を有する受益者が出席し、出席した当該受益者の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

 第42条の規定による責任の免除(第105条第4項各号に掲げるものを除く。)

 第136条第1項第1号に規定する合意

 第143条第1項第1号に規定する合意

 第149条第1項若しくは第2項第1号に規定する合意又は同条第3項に規定する意思表示

 第151条第1項又は第2項第1号に規定する合意

 第155条第1項又は第2項第1号に規定する合意

 第159条第1項又は第2項第1号に規定する合意

 第164条第1項に規定する合意

 前二項の規定にかかわらず、第103条第1項第2号から第4号までに掲げる事項(同号に掲げる事項にあっては、受益者間の権衡に変更を及ぼすものを除く。)に係る重要な信託の変更等に係る受益者集会の決議は、当該受益者集会において議決権を行使することができる受益者の半数以上であって、当該受益者の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

 前三項の規定にかかわらず、第103条第1項第1号又は第4号に掲げる事項(同号に掲げる事項にあっては、受益者間の権衡に変更を及ぼすものに限る。)に係る重要な信託の変更等に係る受益者集会の決議は、総受益者の半数以上であって、総受益者の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって行わなければならない。

 受益者集会は、第108条第2号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。

【議決権の代理行使】 重要度1                         

第114条 受益者は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該受益者又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。

 前項の代理権の授与は、受益者集会ごとにしなければならない。

 第1項の受益者又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該受益者又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。

 受益者が第109条第2項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。

受益者集会のルールを定めており、商事信託以外で関係する可能性はないであろう。