~信託法条文~ 第145条/第146条 よ・つ・ば的解説付

第五章 委託者

【委託者の権利等】重要度4                           

第145条 信託行為においては、委託者がこの法律の規定によるその権利の全部又は一部を有しない旨を定めることができる。

委託者の権利については、信託行為開始後は財産的部分がなくなり、監視的な部分のみになるので、権利自体を持たせるか否かを信託行為で決めることができるとされている。

 信託行為においては、委託者も次に掲げる権利の全部又は一部を有する旨を定めることができる。

本来は信託における財産権者である受益者の権利であるが、必要によっては一部を委託者にも持たせても良いとする規定である。

 第23条第5項又は第6項の規定による異議を主張する権利

 第27条第1項又は第2項(これらの規定を第75条第4項において準用する場合を含む。)の規定による取消権

 第31条第6項又は第7項の規定による取消権

 第32条第4項の規定による権利

 第38条第1項の規定による閲覧又は謄写の請求権

 第39条第1項の規定による開示の請求権

 第40条の規定による損失のてん補又は原状の回復の請求権

 第41条の規定による損失のてん補又は原状の回復の請求権

 第44条の規定による差止めの請求権

 第46条第1項の規定による検査役の選任の申立権

十一 第59条第5項の規定による差止めの請求権

十二 第60条第3項又は第5項の規定による差止めの請求権

十三 第226条第1項の規定による金銭のてん補又は支払の請求権

十四 第228条第1項の規定による金銭のてん補又は支払の請求権

十五 第254条第1項の規定による損失のてん補の請求権

 前項第1号、第7号から第9号まで又は第11号から第15号までに掲げる権利について同項の信託行為の定めがされた場合における第24条、第45条(第226条第6項、第228条第6項及び第254条第3項において準用する場合を含む。)又は第61条の規定の適用については、これらの規定中「受益者」とあるのは、「委託者又は受益者」とする。

 信託行為においては、受託者が次に掲げる義務を負う旨を定めることができる。

 この法律の規定により受託者が受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人。次号において同じ。)に対し通知すべき事項を委託者に対しても通知する義務

 この法律の規定により受託者が受益者に対し報告すべき事項を委託者に対しても報告する義務

 第77条第1項又は第184条第1項の規定により受託者がする計算の承認を委託者に対しても求める義務

 委託者が2人以上ある信託における第1項、第2項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「委託者」とあるのは、「委託者の全部又は一部」とする。

親愛信託においては、委託者に権利を持たせる必要はないものと思われる。

【委託者の地位の移転】 重要度4                        

第146条 委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。

「委託者の地位」は財産権でもなく人格権でもない極めて微妙なもので、敢えて言うなら信託が無効となった際に所有権が戻ってくる対象でしかないが、本条では第三者への委託者の地位の移転の方法を示している。

 委託者が2人以上ある信託における前項の規定の適用については、同項中「受託者及び受益者」とあるのは、「他の委託者、受託者及び受益者」とする。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です