~信託法条文~ 第69条/第70条 よ・つ・ば的解説付

【信託財産管理者の義務等】 重要度1          

第69条 信託財産管理者は、その職務を行うに当たっては、受託者と同一の義務及び責任を負う。

これも、おそらく商事信託の場合の信託会社の倒産などを想定した手続きの規定である。

信託財産管理者の辞任及び解任】 重要度1

第70条 第57条第2項から第5項までの規定は信託財産管理者の辞任について、第58条第4項から第7項までの規定は信託財産管理者の解任について、それぞれ準用する。この場合において、第57条第2項中「やむを得ない事由」とあるのは、「正当な事由」と読み替えるものとする。

前条に同じ。

~信託法条文~ 第67条/第68条 よ・つ・ば的解説付

【信託財産に属する財産の管理】 重要度1                      第67条 信託財産管理者は、就職の後直ちに信託財産に属する財産の管理に着手しなければならない。

 これも、おそらく商事信託の場合の信託会社の倒産などを想定した手続きの規定である。

【当事者適格】 重要度1                              第68条 信託財産に関する訴えについては、信託財産管理者を原告又は被告とする。

前条に同じ。

~信託法条文~ 第65条/第66条 よ・つ・ば的解説付

前受託者がした法律行為の効力】 重要度1 

第65条 前受託者が前条第1項の規定による信託財産管理者の選任の裁判があった後に信託財産に属する財産に関してした法律行為は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。

 前受託者が前条第1項の規定による信託財産管理者の選任の裁判があった日にした法律行為は、当該裁判があった後にしたものと推定する。

これも、おそらく商事信託の場合の信託会社の倒産などを想定した裁判手続きの規定である。

信託財産管理者の権限】 重要度1                     

第66条 第64条第1項の規定により信託財産管理者が選任された場合には、受託者の職務の遂行並びに信託財産に属する財産の管理及び処分をする権利は、信託財産管理者に専属する。

 2人以上の信託財産管理者があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。

 2人以上の信託財産管理者があるときは、第三者の意思表示は、その1人に対してすれば足りる。

 信託財産管理者が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

 保存行為

 信託財産に属する財産の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 前項の規定に違反して行った信託財産管理者の行為は、無効とする。ただし、信託財産管理者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

 信託財産管理者は、第2項ただし書又は第4項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。

 第2項ただし書又は第4項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

 第2項ただし書又は第4項の規定による許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

前条に同じ。

~信託法条文~ 第63条/第64条 よ・つ・ば的解説付

第四款 信託財産管理者等

(信託財産管理命令) 重要度1                        

 第63条 第56条第1項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの間、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この款において「信託財産管理命令」という。)をすることができる。

 前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。      

 裁判所は、信託財産管理命令を変更し、又は取り消すことができる。     

 信託財産管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。

おそらく商事信託の場合の信託会社の倒産などを想定した裁判手続きの規定である。

(信託財産管理者の選任等) 重要度1                   

第64条 裁判所は、信託財産管理命令をする場合には、当該信託財産管理命令において、信託財産管理者を選任しなければならない。

 前項の規定による信託財産管理者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

 裁判所は、第1項の規定による信託財産管理者の選任の裁判をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。

 信託財産管理者を選任した旨

 信託財産管理者の氏名又は名称

 前項第2号の規定は、同号に掲げる事項に変更を生じた場合について準用する。

 信託財産管理命令があった場合において、信託財産に属する権利で登記又は登録がされたものがあることを知ったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録を嘱託しなければならない。

 信託財産管理命令を取り消す裁判があったとき、又は信託財産管理命令があった後に新受託者が選任された場合において当該新受託者が信託財産管理命令の登記若しくは登録の抹消の嘱託の申立てをしたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。

前条に同じ。

~信託法条文~ 第61条/第62条 よ・つ・ば的解説付

(費用又は報酬の支弁等) 重要度1 

第61条 第59条第5項又は前条第3項若しくは第5項の規定による請求に係る訴えを提起した受益者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき又は弁護士、弁護士法人、司法書士若しくは司法書士法人に報酬を支払うべきときは、その費用又は報酬は、その額の範囲内で相当と認められる額を限度として、信託財産から支弁する。

 前項の訴えを提起した受益者が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該受益者は、受託者に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。

訴訟が前提の規定なので、親愛信託とは馴染まない。

第三款 新受託者の選任 重要度4

第62条 第56条第1項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新たな受託者(以下「新受託者」という。)に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより新受託者となるべき者として指定された者が信託の引受けをせず、若しくはこれをすることができないときは、委託者及び受益者は、その合意により、新受託者を選任することができる。

信託行為に新たな受託者の選任に関する別段の定めがない状況で、もし受託者が不在となった際のルールを決めており、委託者と受益者の合意で新受託者を決定できるとしている。

 第56条第1項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新受託者となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、新受託者となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。n

親愛信託の場合には新受託者候補者が知らなかったり、就任を拒否するケースは考えにくいが、催告の規定を定めている。

 前項の規定による催告があった場合において、新受託者となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者及び受益者(2人以上の受益者が現に存する場合にあってはその1人、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。

  第5条の遺言信託の受託者に対する規定を準用している。

 第1項の場合において、同項の合意に係る協議の状況その他の事情に照らして必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、新受託者を選任することができる。

裁判所による選任も可能とされている。

 前項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。

 第4項の規定による新受託者の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受益者又は現に存する受託者に限り、即時抗告をすることができる。

 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。

訴訟手続きに関する規定である。

 委託者が現に存しない場合における前各項の規定の適用については、第1項中「委託者及び受益者は、その合意により」とあるのは「受益者は」と、第3項中「委託者及び受益者」とあるのは「受益者」と、第4項中「同項の合意に係る協議の状況」とあるのは「受益者の状況」とする。

ここでも委託者不在の状況を想定した規定が置かれている。

コリーニ事件

ドイツのナチス犯罪を裁く法廷ものですが、いささか変わった想定です。

子供時代に武装SS(ナチス突撃隊)将校に、目の前で非道に父を虐殺されたイタリア人コリーニ。ドイツでの裁判を却下され、失意のうちに亡くなった姉を含む、仇討ちを遂げます。

殺されたのは、富裕で人格高潔なドイツ人実業家と、その方に家族同然に面倒見てもらった移民トルコ人二世の若き弁護士。彼が、我が恩人を殺したコリーニの国選弁護人となります。

ドイツらしい丁寧で粘り強い調査で、この父同様の実業家が、かつてSS少佐でコリーニの父を殺戮した張本人であることを、法廷で証明して見せます。

しかし法改正により、もはやナチス時代の戦争犯罪人を裁くことが出来なくなっていることが、確認されます。苦渋の末、裁判長はコリーニに無罪を宣告します。

その翌日、コリーニは釈放を待たず、獄中で自死します。

日本人の仏教的宗教感で捉えるならば、仇を討ち無罪を勝ち取った上は、もう思い残すことはない。父と姉のもとへ旅立とう・・・。でしょうか。とても、緻密な作品です。(O)

【スタッフブログ】こんにちは!よつば民事信託とやま 布村です

こんにちは! よつば民事信託とやま  布村です。

新型コロナウイルスの影響と夏バテでフットワークが重めになってしまっています。

そして、個人の事業の不動産も動きが鈍いです。

そんな中で、お預かりしている事業用建物付きの物件。

この物件は、長らくお父様が、事業をしていらして、後に10年程賃貸の出していらした物件です。

売却を依頼されているのですが、名義は、ご高齢のお父様。

お会いした当時は、耳が少し聞こえ辛い程度でお元気でした。

ところが先日、お元気だったお母さまが倒れられたと・・・

お父様は、大変ショックを受けられていらっしゃるご様子です。

夫婦は、奥様が先に亡くなられると残されたご主人は、老いるのが早いと聞いたことがあります。

ご高齢でいらっしゃるので当然、認知症の心配もより大きくなります。

ご家族様が、ご相談にいらした当初に不動産信託のお話をしましたが、自分がそうなるとは思わないものです。

今となっては、お母さまの一日も早いご回復を願いながら、売却活動に注力するしかありません。

空き家、不動産の売却には、それなりの時間と費用が必要です。

費用の中には、不動産仲介手数料をはじめ、測量の費用、広告料、物件によっては、コンサルタント費用などなど。

その中の一つに信託の手続き費用も考慮しておかれるのが賢明かと思います。

もちろん信託を組まれるタイミングは、実際に売却するよりも早いタイミングになりますが、

大事な資産のための 転ばぬ先の杖 とお考えください。

また、無事に売却できて得られたお金の管理にも 信託 は、大変有用です。

ご高齢のご家族様名義の不動産などの資産をお持ちの方は、ぜひこの信託のシステムを知って

ご活用いただきたいと思います。

一般社団法人よつば民事信託とやま 理事 布村