~信託法条文~ 第41条/第42条 よ・つ・ば的解説付

(法人である受託者の役員の連帯責任)重要度2

第41条 法人である受託者の理事、取締役若しくは執行役又はこれらに準ずる者は、当該法人が前条の規定による責任を負う場合において、当該法人が行った法令又は信託行為の定めに違反する行為につき悪意又は重大な過失があるときは、受益者に対し、当該法人と連帯して、損失のてん補又は原状の回復をする責任を負う。

本条も商事信託を前提とした規定であると思われ、親愛信託において問題とすべき論点ではないが、親愛信託においても一般社団法人などが受託者の地位を担うケースでは関係してくる可能性はある。

(損失てん補責任等の免除) 重要度2                     

 第42条 受益者は、次に掲げる責任を免除することができる。

 第40条の規定による責任

 前条の規定による責任

親愛信託においては、受益者と受託者との間に信頼関係があるのが前提なので、万一の事故があったとしても、本条によって免責すれば問題とはならない。

~信託法条文~ 第39条/第40条 よ・つ・ば的解説付

(他の受益者の氏名等の開示の請求) 重要度1                  

第39条 受益者が2人以上ある信託においては、受益者は、受託者に対し、次に掲げる事項を相当な方法により開示することを請求することができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 他の受益者の氏名又は名称及び住所

 他の受益者が有する受益権の内容

本条は、不特定多数の受益者が存在する商事信託を前提とした規定であると思われ、親愛信託において問題とすべき論点ではない。

 前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。

 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。

 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

 請求者が前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

 請求者が、過去2年以内において、前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

 前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第三節 受託者の責任等

(受託者の損失てん補責任等) 重要度3                    

 第40条 受託者がその任務を怠ったことによって次の各号に掲げる場合に該当するに至ったときは、受益者は、当該受託者に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、第2号に定める措置にあっては、原状の回復が著しく困難であるとき、原状の回復をするのに過分の費用を要するとき、その他受託者に原状の回復をさせることを不適当とする特別の事情があるときは、この限りでない。

 信託財産に損失が生じた場合 当該損失のてん補

 信託財産に変更が生じた場合 原状の回復

本条も受託者が「業」として行う商事信託を前提とした規定であると思われるが、「別段の定め」を認めていないことから、親愛信託においても適用はされてしまうので、注意が必要である。

 受託者が第28条の規定に違反して信託事務の処理を第三者に委託した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、第三者に委託をしなかったとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、前項の責任を免れることができない。

受託者が選定した第三者についても受託者に責任を負わせる規定である。

 受託者が第30条、第31条第1項及び第2項又は第32条第1項及び第2項の規定に違反する行為をした場合には、受託者は、当該行為によって受託者又はその利害関係人が得た利益の額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定する。

忠実義務違反や利益相反行為によって発生した損害についての責任規定である。

 受託者が第34条の規定に違反して信託財産に属する財産を管理した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、同条の規定に従い分別して管理をしたとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、第1項の責任を免れることができない。

分別管理義務違反によって発生した損害についての責任規定である。

【スタッフブログ】元気じゃなければ、認知症対策できない!?

先日、半断食キャンプに4泊5日で行ってきました。
「半」断食なので、1日1食、晩御飯に玄米食を少量頂きます。
体力には自信がありましたが、初めの2日間は、本当に辛かったです。食べ物のことしか考えられないし、1日20キロ以上歩くので、筋肉痛も酷かった。
でも、3日目からは霧が晴れたように元気になり、身体の疲れもなくなりました。それから断食を終えた現在、心身ともに絶好調です。

半断食で良い体験ができたのも、健康な身体があってこそだと思っています。
実際に、断食が継続できなくて途中でやめられた方も多いようです。

親愛信託を含む認知症対策も一緒です。
元気なうち(判断能力があるうち)に、ご自身の財産について対策をしておかないと手遅れになります。

まだ、大丈夫だろう(問題が顕在化してない)と皆が思います。
しかし、いざ判断能力を失ってしまうと、生前にできる対策の範囲が限りなく狭まります。

親愛信託を含む財産管理も元気なうち、できる間にやっておくことで、結果的に充実した生活が送れるような気がします。

一般社団法人 おかやま民事信託協会・よ・つ・ば T・N

~信託法条文~ 第37条/第38条 よ・つ・ば的解説付

(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務) 重要度3

第37条 受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。

これも当たり前のことを示している規定であるが、商事信託と親愛信託とでは受託者の負う責任の度合いが大きく異なるし、また第29条により受託者の責任が軽減されている場合には更に異なる解釈が必要となるものと思われる。

 受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。

親愛信託の場合には、一般的な計算書類で十分であると考えられる。

 受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

別段の定めでもって報告義務を軽減可能と解釈できる。

 受託者は、第1項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から10年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、受益者(2人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第6項ただし書において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。

受益者に対して書類を交付すれば保存義務がなくなるとされている。

 受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から10年間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

 前項に同じ

 受託者は、第2項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、その作成の日から10年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。

 前項に同じ

(帳簿等の閲覧等の請求) 重要度2         

第38条 受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 前条第1項又は第5項の書類の閲覧又は謄写の請求

 前条第1項又は第5項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

本条は、受益者と受託者とが利害対立する商事信託を前提とした規定であると思われ、親愛信託において問題とすべき論点ではない。

 前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。

 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。

 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

 請求者が当該信託に係る業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。

 請求者が前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。

 請求者が、過去2年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

 前項(第1号及び第2号を除く。)の規定は、受益者が2人以上ある信託のすべての受益者から第1項の請求があったとき、又は受益者が1人である信託の当該受益者から同項の請求があったときは、適用しない。

 信託行為において、次に掲げる情報以外の情報について、受益者が同意をしたときは第1項の規定による閲覧又は謄写の請求をすることができない旨の定めがある場合には、当該同意をした受益者(その承継人を含む。以下この条において同じ。)は、その同意を撤回することができない。

 前条第2項の書類又は電磁的記録の作成に欠くことのできない情報その他の信託に関する重要な情報

 当該受益者以外の者の利益を害するおそれのない情報

 受託者は、前項の同意をした受益者から第1項の規定による閲覧又は謄写の請求があったときは、前項各号に掲げる情報に該当する部分を除き、これを拒むことができる。

 利害関係人は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。

 前条第2項の書類の閲覧又は謄写の請求

 前条第2項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求