認知症で財産凍結してしまった事例

母親の突然の脳梗塞で実家が空き家に…。そのうえ、固定資産税は6倍に。

東京で妻と子供2人と暮らしているAさん。実家には一人暮らしの母親がいます。母親が脳梗塞で倒れたため介護施設に入居することになりました。そこで、空き家になった母親のすむ実家を売却しようとしたのですが思わぬじたいになってしまいます。脳梗塞で判断力が低下したため実家の売却契約ができない状況になっていることに気づいたのです。そこでAさんは成年後見制度の申し立てをすることを決めました。
両親が認知症などで判断能力が低下した場合、寝たきり状態になった場合など自宅の売却が難しくなります。このような場合に通常は成年後見制度の申し立てを家庭裁判所に行い本人に代わって財産を管理する後見人をつけることになります。後見人は親族がなる場合もありますし、司法書士、弁護士などの専門家が選任される場合もあります。Aさんの場合は司法書士の専門家が後見人に選定されたため、司法書士に報酬を支払うことになりました。
ここで思わぬ落とし穴にはまってしまいます。被後見人の居住用不動産=実家を売却するのに裁判所の許可が必要だったのです。被後見人の居住用不動産とは居住用不動産とは、①本人の生活の本拠として現に居住している建物とその敷地、②現在居住していないが過去に生活の本拠となっていた建物とその敷地、③現在居住していないが将来生活の本拠として利用する予定の建物とその敷地のいずれかに該当するものとされており、Aさんの実家は②にあたっているということで裁判所の許可が必要となりました。介護に必要な資金が十分あるという理由で結果的に裁判所の許可は下りませんでした。その後、実家の管理ができずにいると今度は市役所から調査が入り特定空き家等に指定されることになりました。必要ない空き家を売却できないばかりか、結果的に実家の固定資産税は6倍にまでなってしまいました。

判断力のあるうちに親愛信託を活用することで空き家のリスクは防げました。

Aさんはどうすればよかったのでしょうか?もっとも有効な方法は母親のは判断力があるうちに、母親が委託者、Aさんを受託者とする信託契約を結ぶことでした。母親の認知症が進行したり、万が一があるなどにより、判断能力が低下した場合にAさんが受託者として実家の売却を行うこともできたたわけです。このほか、親が収益物件を持っていた場合の大規模修繕や建て替えなども成年後見制度の下では難しい部分もあり、親愛信託を活用することで解決することができます。